Chapter 1
| Dani | JapBungo | 1:10 | 是において寺人の長ダニエルに言けるは吾主なる王すでに命をくだして汝らの食物と汝らの飮物とを頒たしめたまへば我かれを畏る恐くは彼なんぢらの面の其同輩の少者等と異にして憂色あるを見ん然る時は汝らのために我首王の前に危からん | |
Chapter 2
| Dani | JapBungo | 2:9 | 汝らもしその夢を我に示さずば汝らを處置するの法は只一のみ汝らは相語らひて虚言と妄誕なる詞を我前にのべて時の變るを待んとするなり汝ら今先その夢を我に示せ然すれば汝らがその解明をも我にしめし得ることを我しらんと | |
| Dani | JapBungo | 2:10 | カルデヤ人等こたへて王の前に申しけるは世の中には王のその事を示し得る人一箇もなし是をもて王たる者主たる者君たる者等の中に斯る事を博士または法術士またはカルデヤ人に問たづねし者絶てあらざるなり | |
| Dani | JapBungo | 2:24 | 是においてダニエルは王がバビロンの智者等を殺すことを命じおけるアリオクの許にいたり即ちいりてこれに言けるはバビロンの智者等を殺す勿れ我を王の前に引いたれよ我その解明を王に奏上ぐべしと | |
| Dani | JapBungo | 2:28 | 然ど天に一の神ありて秘密をあらはし給ふ彼後の日に起らんところの事の如何なるかをネブカデネザル王にしらせたまふなり汝の夢汝が牀にありて想見たまひし汝の腦中の異象は是なり | |
| Dani | JapBungo | 2:45 | かの石の人手によらずして山より鑿れて出で鐵と銅と泥土と銀と金とを打碎きしを汝が見たまひしは即ちこの事なり大御神この後に起らんところの事を王にしらせたまへるなりその夢は眞にしてこの解明は確なり | |
Chapter 3
| Dani | JapBungo | 3:12 | 此に汝が立てバビロン州の事務を司どらせ給へるユダヤ人シヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴあり王よ此人々は汝を尊ばず汝の神々にも事へず汝の立たまへる金像をも拝せざるなりと | |
| Dani | JapBungo | 3:15 | 汝らもし何の時にもあれ喇叭簫琵琶琴瑟篳篥などの諸の樂器の音を聞く時に俯伏し我が造れる像を拝することを爲ば可し然ど汝らもし拝することをせずば即時に火の燃る爐の中に投こまるべし何の神か能く汝らをわが手より救ひいだすことをせん | |
| Dani | JapBungo | 3:26 | ネブカデネザルすなはちその火の燃る爐の口に進みよりて呼て言ふ至高神の僕シヤデラク、メシヤク、アベデネゴよ汝ら出きたれと是においてシヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴその火の中より出きたりしかば | |
| Dani | JapBungo | 3:28 | ネブカデネザルすなはち宣て曰くシヤデラク、メシヤク、アベデネゴの神は讃べき哉彼その使者を遣りて己を賴む僕を救へりまた彼らは自己の神の外には何の神にも事へずまた拝せざらんとて王の命をも用ひず自己の身をも捨んとせり | |
| Dani | JapBungo | 3:29 | 然ば我今命を下す諸民諸族諸音の中凡てシヤデラク、メシヤクおよびアベダネゴの神を詈る者あらばその身は切裂れその家は厠にせられん其は是のごとくに救を施す神他にあらざればなりと | |
Chapter 4
| Dani | JapBungo | 4:17 | この事は警寤者等の命によりこの事は聖者等の言による是至高者人間の國を治めて自己の意のままにこれを人に與へまた人の中の最も賤き者をその上に立たまふといふ事を一切の者に知しめんがためなり | |
| Dani | JapBungo | 4:18 | 我ネブカデネザル王この夢を見たりベルテシヤザルよ汝その解明を我に述よ我國の智者は執も皆その解明を我に示すことを得ざりしが汝は之を能せん其は汝の裏には聖神の霊やどればなりと | |
| Dani | JapBungo | 4:19 | その時ダニエル又の名はベルテシヤザルとい者暫時の間驚き居り心に深く懼れたれば王これに告て言りベルテシヤザルよ汝この夢とその解明のために懼るるにおよばずとベルテシヤザルすなはち答へて言けらく我主よ願くはこの夢汝を惡む者の上にかからん事を願くは此解明汝の敵にのぞまんことを | |
| Dani | JapBungo | 4:23 | 王また一箇の警寤者一箇の聖者の天より下りて斯言ふを見たまへり云くこの樹を伐たふして之をそこなへ但し其根の上の斬株を地に遺しおき鐵と銅の索をかけて之を野の草の中にあらしめよ是は天より下る露に濡れ野の獣とその分を同じうして七の時を經ん | |
| Dani | JapBungo | 4:25 | 即ち汝は逐れて世の人と離れ野の獣とともに居り牛のごとくに草を食ひ天よりくだる露に濡れん是の如くにして七の時を經て汝つひに知ん至高者人間の國を治めて自己の意のままに之を人に與へ給ふと | |
| Dani | JapBungo | 4:33 | その時直にこの事ネブカデネザルに臨み彼は逐れて世の人に離れ牛のごとくに草を食ひてその身は天よりくだる露に濡れ終にその髮毛は鷲の羽のごとくになりその爪は鳥の爪のごとくになりぬ | |
| Dani | JapBungo | 4:34 | 斯てその日の滿たる後我ネブカデネザル目をあげて天を望みしにわが分別性我に歸りたれば我至高者に感謝しその永遠に生る者を讃かつ崇めたり彼の御宇は永遠の御宇彼の國は世々かぎり無し | |
| Dani | JapBungo | 4:36 | この時わが分別性かく我に歸りたりしがわが國の榮光につきてはまた我の尊嚴と光耀我にかへれり且また大臣牧伯等我に請求めて我ふたたび國の祚を踐み前よりも著しく威光を増たり | |
Chapter 5
| Dani | JapBungo | 5:2 | 酒の進むにいたりてベルシヤザルはその父ネブカデネザルがヱルサレムの宮より取きたりし金銀の器を携へいたれと命ぜり是王とその大臣および王の妻妾等みな之をもて酒を飮んとてなりき | |
| Dani | JapBungo | 5:7 | 王すなはち大聲に呼はりて法術士カルデヤ人卜筮師等を召きたらしめ而して王バビロンの智者等に告て言ふこの文字を讀みその解明を我に示す者には紫の衣を衣せ頸に金の鏈をかけさせて之を國の第三の牧伯となさんと | |
| Dani | JapBungo | 5:11 | 汝の國に聖神の霊のやどれる一箇の人あり汝の父の代に彼聰明了知および神の智慧のごとき智慧あることを顯せり汝の父ネブカデネザル王すなはち汝の父の王彼を立てて博士法術士カルデヤ人卜筮師等の長となせり | |
| Dani | JapBungo | 5:12 | 彼はダニエルといへる者なるが王これにベルテシヤザルといふ名を與へたり彼は心の殊勝たる者にて了知あり知識ありて能く夢を解き隠語を解き難問を解くなり然ばダニエルを召されよ彼その解明をしめさんと | |
| Dani | JapBungo | 5:16 | 我聞に汝は能く物事の解明をなしかつ難問を解くと云ふ然ば汝もし能くこの文字を讀みその解明を我に示さば汝に紫の衣を衣せ金の索を汝の頸にかけさせて汝をこの國の第三の牧伯となさんと | |
| Dani | JapBungo | 5:21 | 逐れて世の人と離れその心は獣のごとくに成りその住所は野馬の中にあり牛のごとくに草を食ひてその身は天よりの露に濡たり是のごとくにして終に彼は至高神の人間の國を治めてその意のままに人を立たまふといふことをしるにいたれり | |
| Dani | JapBungo | 5:23 | 却つて天の主にむかひて自ら高ぶりその家の器皿を汝の前に持きたらしめて汝と汝の大臣と汝の妻妾等それをもて酒を飮み而して汝は見ことも聞ことも知こともあらぬ金銀銅鐵木石の神を讃頌ふることを爲し汝の生命をその手に握り汝の一切の道を主どりたまふ神を崇むることをせず | |
Chapter 6
| Dani | JapBungo | 6:4 | 是においてその監督と州牧等國事につきてダエルを訟ふる隙を得んとしたりしが何の隙をも何の咎をも見いだすことを得ざりき其は彼は忠義なる者にてその身に何の咎もなく何の過失もなかりければなり | |
| Dani | JapBungo | 6:7 | 國の監督將軍州牧牧伯方伯等みな相議りて王に一の律法を立て一の禁令を定めたまはんことを求めんとす王よその事は是の如し即ち今より三十日の内は唯汝にのみ願事をなさしめ若汝をおきて神または人にこれをなす者あらば凡て獅子の穴に投いれんといふ是なり | |
| Dani | JapBungo | 6:10 | 茲にダニエルはその詔書を認めたることを知りて家にかへりけるがその二階の窓のヱルサレムにむかひて開ける處にて一日に三度づつ膝をかがめて祷りその神に向て感謝せり是その時の前よりして斯なし居たればなり | |
| Dani | JapBungo | 6:12 | 而して彼ら進みきたり王の禁令の事につきて王に奏上して言けるは王よ汝は禁令をしたため出し今より三十日の内には只なんぢにのみ願事をなさしめ若し汝をおきて神または人にこれをなす者あらば凡てその者を獅子の穴に投いれんと定めたまへるならずやと王こたへて言ふ其事は眞實にしてメデアとペルシヤの律法のごとく廢べからざる者なり | |
| Dani | JapBungo | 6:24 | かくて王また命を下しかのダニエルを讒奏せし者等を曳きたらせて之をその妻子とともに獅子の穴に投いれしめたるにその穴の底につかざる内に獅子はやくも彼らを攫みてその骨までもことごとく咬碎けり | |
Chapter 7
| Dani | JapBungo | 7:7 | 我夜の異象の中に見しにその後第四の獣いでたりしが是は畏しく猛く大に強くして大なる鐵の歯あり食ひかつ咬碎きてその殘餘をば足にて踏つけたり是はその前に出たる諸の獣とは異なりてまた十の角ありき | |
| Dani | JapBungo | 7:8 | 我その角を考へ觀つつありけるにその中にまた一箇の小き角出きたりしがこの小き角のために先の角三箇その根より抜おちたりこの小き角には人の目のごとき目ありまた大なる事を言ふ口あり | |
| Dani | JapBungo | 7:9 | 我觀つつありしに遂に寳座を置列ぶるありて日の老たる者座を占めたりしがその衣は雪のごとくに白くその髮毛は漂潔めたる羊の毛のごとし又その寳座は火の熖にしてその車輪は燃る火なり | |
| Dani | JapBungo | 7:20 | 此獣の頭には十の角ありしが其他にまた一の角いできたりしかば之がために三の角抜おちたり此角には目ありまた大なる事を言ふ口ありてその状はその同類よりも強く見えたり我またこの事を知んと欲せり | |
Chapter 8
| Dani | JapBungo | 8:4 | 我觀しにその牡羊西北南にむかひて牴觸りけるが之に敵ることを得る獣一匹も無くまたその手より救ひいだすことを得る者絶てあらざりき是はその意にまかせて事をなしその勢威はなはだ盛なりき | |
| Dani | JapBungo | 8:7 | 我觀てあるに牡羊に近づくに至りて之にむかひて怒を發し牡羊を撃てその二の角を碎きたるに牡羊には之に敵る力なかりければこれを地に打倒して踏つけたり然るにその牡羊をこれが手より救ひ得る者あらざりき | |
| Dani | JapBungo | 8:13 | かくて我聞に一箇の聖者語ひをりしが又一箇の聖者ありてその語ひをる聖者にむかひて言ふ常供の物と荒廢を來らする罪とにつきて異象にあらはれたるところの事聖所とその軍との棄られて踏つけらるる事は何時まで斯てあるべきかと | |
Chapter 9
| Dani | JapBungo | 9:7 | 主よ公義は汝に歸し羞辱は我らに歸せりその状今日のごとし即ちユダの人々ヱルサレムの居民およびイスラエルの全家の者は近き者も遠き者も皆汝の逐やりたまひし諸の國々にて羞辱を蒙れり是は彼らが汝に背きて獲たる罪によりて然るなり | |
| Dani | JapBungo | 9:12 | 即ち神は大なる災害を我らに蒙らせたまひてその前に我らと我らを鞫ける士師とにむかひて宣ひし言を行ひとげたまへりかのエルサレムに臨みたる事の如きは普天の下に未だ曾て有ざりしなり | |
| Dani | JapBungo | 9:16 | 主よ願くは汝が是まで公義き御行爲を爲たまひし如く汝の邑ヱルサレム汝の聖山より汝の忿怒と憤恨を取離し給へ其は我らの罪と我らの先祖の惡のためにヱルサレムと汝の民は我らの周圍の者の笑柄となりたればなり | |
| Dani | JapBungo | 9:18 | 我神よ耳を傾けて聽たまへ目を啓きて我らの荒蕪たる状を觀汝の名をもて稱へらるる邑を觀たまへ我らが汝の前に祈祷をたてまつるは自己の公義によるに非ず唯なんぢの大なる憐憫によるなり | |
| Dani | JapBungo | 9:19 | 主よ聽いれたまへ主よ赦したまへ主よ聽いれて行ひたまへこの事を遅くしたまふなかれわが神よ汝みづからのために之をなしたまへ其は汝の邑と汝の民は汝の名をもて稱へらるればなり | |
| Dani | JapBungo | 9:26 | その六十二週の後にメッシャ絶れん但し是は自己のために非ざるなりまた一人の君の民きたりて邑と聖所とを毀たんその終は洪水に由れる如くなるべし戰爭の終るまでに荒蕪すでに極る | |
Chapter 10
Chapter 11
| Dani | JapBungo | 11:6 | 年を經て後彼等相結ばん即ち南の王の女子北の王に適て和好を圖らん然どその腕には力なしまたその王およびその腕は立ことを得じこの女とこれを導ける者とこれを生せたる者とこれに力をつけたる者はみな時におよびて付されん | |
| Dani | JapBungo | 11:17 | 彼その全國の力を盡して打入んとその面をこれに向べけれどまたこれと和好をなして婦人の女子を之に與へん然るにその婦人の女子は之がために身を滅すに至り何事をも成あたはす毫も彼のために益する所なかるべし | |
| Dani | JapBungo | 11:24 | 彼すなはち不意にきたりてその國の膏腴なる處に攻いりその父もその父の父も爲ざりしところの事を行はん彼はその奪ひたる物掠めたる物および財寳を衆人の中に散すべし彼は謀略をめぐらして堅固なる城々を攻取べし時の至るまで斯のごとくならん | |
| Dani | JapBungo | 11:25 | 彼はその勢力を奮ひ心を勵まし大軍を率ゐて南の王に攻よせん南の王もまた自ら奮ひ甚だ大なる強き軍勢をもて迎へ戰はん然ど謀略をめぐらして攻るが故にこれに當ることを得ざるべし | |
| Dani | JapBungo | 11:36 | 此王その意のままに事をおこなひ萬の神に逾て自己を高くし自己を大にし神々の神たる者にむかひて大言を吐き等して忿怒の息む時までその志を得ん其はその定まれるところの事成ざるべからざればなり | |
Chapter 12
| Dani | JapBungo | 12:1 | その時汝の民の人々のために立ところの大なる君ミカエル起あがらん是艱難の時なり國ありてより以來その時にいたるまで斯る艱難ありし事なかるべしその時汝の民は救はれん即ち書にしるされたる者はみな救はれん | |
| Dani | JapBungo | 12:7 | 我聞にかの布の衣を衣て河の水の上に立る人天にむかひてその右の手と左の手を擧げ永久に生る者を指て誓ひて言りその間は一時と二時と半時なり聖民の手の碎くること終らん時に是等の事みな終るべしと | |