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Chapter 1
Mark JapKougo 1:1  神の子イエス・キリストの福音のはじめ。
Mark JapKougo 1:2  預言者イザヤの書に、「見よ、わたしは使をあなたの先につかわし、あなたの道を整えさせるであろう。
Mark JapKougo 1:3  荒野で呼ばわる者の声がする、『主の道を備えよ、その道筋をまっすぐにせよ』」と書いてあるように、
Mark JapKougo 1:4  バプテスマのヨハネが荒野に現れて、罪のゆるしを得させる悔改めのバプテスマを宣べ伝えていた。
Mark JapKougo 1:5  そこで、ユダヤ全土とエルサレムの全住民とが、彼のもとにぞくぞくと出て行って、自分の罪を告白し、ヨルダン川でヨハネからバプテスマを受けた。
Mark JapKougo 1:6  このヨハネは、らくだの毛ごろもを身にまとい、腰に皮の帯をしめ、いなごと野蜜とを食物としていた。
Mark JapKougo 1:7  彼は宣べ伝えて言った、「わたしよりも力のあるかたが、あとからおいでになる。わたしはかがんで、そのくつのひもを解く値うちもない。
Mark JapKougo 1:8  わたしは水でバプテスマを授けたが、このかたは、聖霊によってバプテスマをお授けになるであろう」。
Mark JapKougo 1:9  そのころ、イエスはガリラヤのナザレから出てきて、ヨルダン川で、ヨハネからバプテスマをお受けになった。
Mark JapKougo 1:10  そして、水の中から上がられるとすぐ、天が裂けて、聖霊がはとのように自分に下って来るのを、ごらんになった。
Mark JapKougo 1:11  すると天から声があった、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者である」。
Mark JapKougo 1:12  それからすぐに、御霊がイエスを荒野に追いやった。
Mark JapKougo 1:13  イエスは四十日のあいだ荒野にいて、サタンの試みにあわれた。そして獣もそこにいたが、御使たちはイエスに仕えていた。
Mark JapKougo 1:14  ヨハネが捕えられた後、イエスはガリラヤに行き、神の福音を宣べ伝えて言われた、
Mark JapKougo 1:15  「時は満ちた、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信ぜよ」。
Mark JapKougo 1:16  さて、イエスはガリラヤの海べを歩いて行かれ、シモンとシモンの兄弟アンデレとが、海で網を打っているのをごらんになった。彼らは漁師であった。
Mark JapKougo 1:17  イエスは彼らに言われた、「わたしについてきなさい。あなたがたを、人間をとる漁師にしてあげよう」。
Mark JapKougo 1:18  すると、彼らはすぐに網を捨てて、イエスに従った。
Mark JapKougo 1:19  また少し進んで行かれると、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネとが、舟の中で網を繕っているのをごらんになった。
Mark JapKougo 1:20  そこで、すぐ彼らをお招きになると、父ゼベダイを雇人たちと一緒に舟において、イエスのあとについて行った。
Mark JapKougo 1:21  それから、彼らはカペナウムに行った。そして安息日にすぐ、イエスは会堂にはいって教えられた。
Mark JapKougo 1:22  人々は、その教に驚いた。律法学者たちのようにではなく、権威ある者のように、教えられたからである。
Mark JapKougo 1:23  ちょうどその時、けがれた霊につかれた者が会堂にいて、叫んで言った、
Mark JapKougo 1:24  「ナザレのイエスよ、あなたはわたしたちとなんの係わりがあるのです。わたしたちを滅ぼしにこられたのですか。あなたがどなたであるか、わかっています。神の聖者です」。
Mark JapKougo 1:25  イエスはこれをしかって、「黙れ、この人から出て行け」と言われた。
Mark JapKougo 1:26  すると、けがれた霊は彼をひきつけさせ、大声をあげて、その人から出て行った。
Mark JapKougo 1:27  人々はみな驚きのあまり、互に論じて言った、「これは、いったい何事か。権威ある新しい教だ。けがれた霊にさえ命じられると、彼らは従うのだ」。
Mark JapKougo 1:28  こうしてイエスのうわさは、たちまちガリラヤの全地方、いたる所にひろまった。
Mark JapKougo 1:29  それから会堂を出るとすぐ、ヤコブとヨハネとを連れて、シモンとアンデレとの家にはいって行かれた。
Mark JapKougo 1:30  ところが、シモンのしゅうとめが熱病で床についていたので、人々はさっそく、そのことをイエスに知らせた。
Mark JapKougo 1:31  イエスは近寄り、その手をとって起されると、熱が引き、女は彼らをもてなした。
Mark JapKougo 1:32  夕暮になり日が沈むと、人々は病人や悪霊につかれた者をみな、イエスのところに連れてきた。
Mark JapKougo 1:33  こうして、町中の者が戸口に集まった。
Mark JapKougo 1:34  イエスは、さまざまの病をわずらっている多くの人々をいやし、また多くの悪霊を追い出された。また、悪霊どもに、物言うことをお許しにならなかった。彼らがイエスを知っていたからである。
Mark JapKougo 1:35  朝はやく、夜の明けるよほど前に、イエスは起きて寂しい所へ出て行き、そこで祈っておられた。
Mark JapKougo 1:36  すると、シモンとその仲間とが、あとを追ってきた。
Mark JapKougo 1:37  そしてイエスを見つけて、「みんなが、あなたを捜しています」と言った。
Mark JapKougo 1:38  イエスは彼らに言われた、「ほかの、附近の町々にみんなで行って、そこでも教を宣べ伝えよう。わたしはこのために出てきたのだから」。
Mark JapKougo 1:39  そして、ガリラヤ全地を巡りあるいて、諸会堂で教を宣べ伝え、また悪霊を追い出された。
Mark JapKougo 1:40  ひとりのらい病人が、イエスのところに願いにきて、ひざまずいて言った、「みこころでしたら、きよめていただけるのですが」。
Mark JapKougo 1:41  イエスは深くあわれみ、手を伸ばして彼にさわり、「そうしてあげよう、きよくなれ」と言われた。
Mark JapKougo 1:42  すると、らい病が直ちに去って、その人はきよくなった。
Mark JapKougo 1:43  イエスは彼をきびしく戒めて、すぐにそこを去らせ、こう言い聞かせられた、
Mark JapKougo 1:44  「何も人に話さないように、注意しなさい。ただ行って、自分のからだを祭司に見せ、それから、モーセが命じた物をあなたのきよめのためにささげて、人々に証明しなさい」。
Mark JapKougo 1:45  しかし、彼は出て行って、自分の身に起ったことを盛んに語り、また言いひろめはじめたので、イエスはもはや表立っては町に、はいることができなくなり、外の寂しい所にとどまっておられた。しかし、人々は方々から、イエスのところにぞくぞくと集まってきた。
Chapter 2
Mark JapKougo 2:1  幾日かたって、イエスがまたカペナウムにお帰りになったとき、家におられるといううわさが立ったので、
Mark JapKougo 2:2  多くの人々が集まってきて、もはや戸口のあたりまでも、すきまが無いほどになった。そして、イエスは御言を彼らに語っておられた。
Mark JapKougo 2:3  すると、人々がひとりの中風の者を四人の人に運ばせて、イエスのところに連れてきた。
Mark JapKougo 2:4  ところが、群衆のために近寄ることができないので、イエスのおられるあたりの屋根をはぎ、穴をあけて、中風の者を寝かせたまま、床をつりおろした。
Mark JapKougo 2:5  イエスは彼らの信仰を見て、中風の者に、「子よ、あなたの罪はゆるされた」と言われた。
Mark JapKougo 2:6  ところが、そこに幾人かの律法学者がすわっていて、心の中で論じた、
Mark JapKougo 2:7  「この人は、なぜあんなことを言うのか。それは神をけがすことだ。神ひとりのほかに、だれが罪をゆるすことができるか」。
Mark JapKougo 2:8  イエスは、彼らが内心このように論じているのを、自分の心ですぐ見ぬいて、「なぜ、あなたがたは心の中でそんなことを論じているのか。
Mark JapKougo 2:9  中風の者に、あなたの罪はゆるされた、と言うのと、起きよ、床を取りあげて歩け、と言うのと、どちらがたやすいか。
Mark JapKougo 2:10  しかし、人の子は地上で罪をゆるす権威をもっていることが、あなたがたにわかるために」と彼らに言い、中風の者にむかって、
Mark JapKougo 2:11  「あなたに命じる。起きよ、床を取りあげて家に帰れ」と言われた。
Mark JapKougo 2:12  すると彼は起きあがり、すぐに床を取りあげて、みんなの前を出て行ったので、一同は大いに驚き、神をあがめて、「こんな事は、まだ一度も見たことがない」と言った。
Mark JapKougo 2:13  イエスはまた海べに出て行かれると、多くの人々がみもとに集まってきたので、彼らを教えられた。
Mark JapKougo 2:14  また途中で、アルパヨの子レビが収税所にすわっているのをごらんになって、「わたしに従ってきなさい」と言われた。すると彼は立ちあがって、イエスに従った。
Mark JapKougo 2:15  それから彼の家で、食事の席についておられたときのことである。多くの取税人や罪人たちも、イエスや弟子たちと共にその席に着いていた。こんな人たちが大ぜいいて、イエスに従ってきたのである。
Mark JapKougo 2:16  パリサイ派の律法学者たちは、イエスが罪人や取税人たちと食事を共にしておられるのを見て、弟子たちに言った、「なぜ、彼は取税人や罪人などと食事を共にするのか」。
Mark JapKougo 2:17  イエスはこれを聞いて言われた、「丈夫な人には医者はいらない。いるのは病人である。わたしがきたのは、義人を招くためではなく、罪人を招くためである」。
Mark JapKougo 2:18  ヨハネの弟子とパリサイ人とは、断食をしていた。そこで人々がきて、イエスに言った、「ヨハネの弟子たちとパリサイ人の弟子たちとが断食をしているのに、あなたの弟子たちは、なぜ断食をしないのですか」。
Mark JapKougo 2:19  するとイエスは言われた、「婚礼の客は、花婿が一緒にいるのに、断食ができるであろうか。花婿と一緒にいる間は、断食はできない。
Mark JapKougo 2:20  しかし、花婿が奪い去られる日が来る。その日には断食をするであろう。
Mark JapKougo 2:21  だれも、真新しい布ぎれを、古い着物に縫いつけはしない。もしそうすれば、新しいつぎは古い着物を引き破り、そして、破れがもっとひどくなる。
Mark JapKougo 2:22  まただれも、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れはしない。もしそうすれば、ぶどう酒は皮袋をはり裂き、そして、ぶどう酒も皮袋もむだになってしまう。〔だから、新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきである〕」。
Mark JapKougo 2:23  ある安息日に、イエスは麦畑の中をとおって行かれた。そのとき弟子たちが、歩きながら穂をつみはじめた。
Mark JapKougo 2:24  すると、パリサイ人たちがイエスに言った、「いったい、彼らはなぜ、安息日にしてはならぬことをするのですか」。
Mark JapKougo 2:25  そこで彼らに言われた、「あなたがたは、ダビデとその供の者たちとが食物がなくて飢えたとき、ダビデが何をしたか、まだ読んだことがないのか。
Mark JapKougo 2:26  すなわち、大祭司アビアタルの時、神の家にはいって、祭司たちのほか食べてはならぬ供えのパンを、自分も食べ、また供の者たちにも与えたではないか」。
Mark JapKougo 2:27  また彼らに言われた、「安息日は人のためにあるもので、人が安息日のためにあるのではない。
Mark JapKougo 2:28  それだから、人の子は、安息日にもまた主なのである」。
Chapter 3
Mark JapKougo 3:1  イエスがまた会堂にはいられると、そこに片手のなえた人がいた。
Mark JapKougo 3:2  人々はイエスを訴えようと思って、安息日にその人をいやされるかどうかをうかがっていた。
Mark JapKougo 3:3  すると、イエスは片手のなえたその人に、「立って、中へ出てきなさい」と言い、
Mark JapKougo 3:4  人々にむかって、「安息日に善を行うのと悪を行うのと、命を救うのと殺すのと、どちらがよいか」と言われた。彼らは黙っていた。
Mark JapKougo 3:5  イエスは怒りを含んで彼らを見まわし、その心のかたくななのを嘆いて、その人に「手を伸ばしなさい」と言われた。そこで手を伸ばすと、その手は元どおりになった。
Mark JapKougo 3:6  パリサイ人たちは出て行って、すぐにヘロデ党の者たちと、なんとかしてイエスを殺そうと相談しはじめた。
Mark JapKougo 3:7  それから、イエスは弟子たちと共に海べに退かれたが、ガリラヤからきたおびただしい群衆がついて行った。またユダヤから、
Mark JapKougo 3:8  エルサレムから、イドマヤから、更にヨルダンの向こうから、ツロ、シドンのあたりからも、おびただしい群衆が、そのなさっていることを聞いて、みもとにきた。
Mark JapKougo 3:9  イエスは群衆が自分に押し迫るのを避けるために、小舟を用意しておけと、弟子たちに命じられた。
Mark JapKougo 3:10  それは、多くの人をいやされたので、病苦に悩む者は皆イエスにさわろうとして、押し寄せてきたからである。
Mark JapKougo 3:11  また、けがれた霊どもはイエスを見るごとに、みまえにひれ伏し、叫んで、「あなたこそ神の子です」と言った。
Mark JapKougo 3:12  イエスは御自身のことを人にあらわさないようにと、彼らをきびしく戒められた。
Mark JapKougo 3:13  さてイエスは山に登り、みこころにかなった者たちを呼び寄せられたので、彼らはみもとにきた。
Mark JapKougo 3:14  そこで十二人をお立てになった。彼らを自分のそばに置くためであり、さらに宣教につかわし、
Mark JapKougo 3:15  また悪霊を追い出す権威を持たせるためであった。
Mark JapKougo 3:16  こうして、この十二人をお立てになった。そしてシモンにペテロという名をつけ、
Mark JapKougo 3:17  またゼベダイの子ヤコブと、ヤコブの兄弟ヨハネ、彼らにはボアネルゲ、すなわち、雷の子という名をつけられた。
Mark JapKougo 3:18  つぎにアンデレ、ピリポ、バルトロマイ、マタイ、トマス、アルパヨの子ヤコブ、タダイ、熱心党のシモン、
Mark JapKougo 3:19  それからイスカリオテのユダ。このユダがイエスを裏切ったのである。イエスが家にはいられると、
Mark JapKougo 3:20  群衆がまた集まってきたので、一同は食事をする暇もないほどであった。
Mark JapKougo 3:21  身内の者たちはこの事を聞いて、イエスを取押えに出てきた。気が狂ったと思ったからである。
Mark JapKougo 3:22  また、エルサレムから下ってきた律法学者たちも、「彼はベルゼブルにとりつかれている」と言い、「悪霊どものかしらによって、悪霊どもを追い出しているのだ」とも言った。
Mark JapKougo 3:23  そこでイエスは彼らを呼び寄せ、譬をもって言われた、「どうして、サタンがサタンを追い出すことができようか。
Mark JapKougo 3:24  もし国が内部で分れ争うなら、その国は立ち行かない。
Mark JapKougo 3:25  また、もし家が内わで分れ争うなら、その家は立ち行かないであろう。
Mark JapKougo 3:26  もしサタンが内部で対立し分争するなら、彼は立ち行けず、滅んでしまう。
Mark JapKougo 3:27  だれでも、まず強い人を縛りあげなければ、その人の家に押し入って家財を奪い取ることはできない。縛ってからはじめて、その家を略奪することができる。
Mark JapKougo 3:28  よく言い聞かせておくが、人の子らには、その犯すすべての罪も神をけがす言葉も、ゆるされる。
Mark JapKougo 3:29  しかし、聖霊をけがす者は、いつまでもゆるされず、永遠の罪に定められる」。
Mark JapKougo 3:30  そう言われたのは、彼らが「イエスはけがれた霊につかれている」と言っていたからである。
Mark JapKougo 3:31  さて、イエスの母と兄弟たちとがきて、外に立ち、人をやってイエスを呼ばせた。
Mark JapKougo 3:32  ときに、群衆はイエスを囲んですわっていたが、「ごらんなさい。あなたの母上と兄弟、姉妹たちが、外であなたを尋ねておられます」と言った。
Mark JapKougo 3:33  すると、イエスは彼らに答えて言われた、「わたしの母、わたしの兄弟とは、だれのことか」。
Mark JapKougo 3:34  そして、自分をとりかこんで、すわっている人々を見まわして、言われた、「ごらんなさい、ここにわたしの母、わたしの兄弟がいる。
Mark JapKougo 3:35  神のみこころを行う者はだれでも、わたしの兄弟、また姉妹、また母なのである」。
Chapter 4
Mark JapKougo 4:1  イエスはまたも、海べで教えはじめられた。おびただしい群衆がみもとに集まったので、イエスは舟に乗ってすわったまま、海上におられ、群衆はみな海に沿って陸地にいた。
Mark JapKougo 4:2  イエスは譬で多くの事を教えられたが、その教の中で彼らにこう言われた、
Mark JapKougo 4:3  「聞きなさい、種まきが種をまきに出て行った。
Mark JapKougo 4:4  まいているうちに、道ばたに落ちた種があった。すると、鳥がきて食べてしまった。
Mark JapKougo 4:5  ほかの種は土の薄い石地に落ちた。そこは土が深くないので、すぐ芽を出したが、
Mark JapKougo 4:6  日が上ると焼けて、根がないために枯れてしまった。
Mark JapKougo 4:7  ほかの種はいばらの中に落ちた。すると、いばらが伸びて、ふさいでしまったので、実を結ばなかった。
Mark JapKougo 4:8  ほかの種は良い地に落ちた。そしてはえて、育って、ますます実を結び、三十倍、六十倍、百倍にもなった」。
Mark JapKougo 4:9  そして言われた、「聞く耳のある者は聞くがよい」。
Mark JapKougo 4:10  イエスがひとりになられた時、そばにいた者たちが、十二弟子と共に、これらの譬について尋ねた。
Mark JapKougo 4:11  そこでイエスは言われた、「あなたがたには神の国の奥義が授けられているが、ほかの者たちには、すべてが譬で語られる。
Mark JapKougo 4:12  それは『彼らは見るには見るが、認めず、聞くには聞くが、悟らず、悔い改めてゆるされることがない』ためである」。
Mark JapKougo 4:13  また彼らに言われた、「あなたがたはこの譬がわからないのか。それでは、どうしてすべての譬がわかるだろうか。
Mark JapKougo 4:15  道ばたに御言がまかれたとは、こういう人たちのことである。すなわち、御言を聞くと、すぐにサタンがきて、彼らの中にまかれた御言を、奪って行くのである。
Mark JapKougo 4:16  同じように、石地にまかれたものとは、こういう人たちのことである。御言を聞くと、すぐに喜んで受けるが、
Mark JapKougo 4:17  自分の中に根がないので、しばらく続くだけである。そののち、御言のために困難や迫害が起ってくると、すぐつまずいてしまう。
Mark JapKougo 4:18  また、いばらの中にまかれたものとは、こういう人たちのことである。御言を聞くが、
Mark JapKougo 4:19  世の心づかいと、富の惑わしと、その他いろいろな欲とがはいってきて、御言をふさぐので、実を結ばなくなる。
Mark JapKougo 4:20  また、良い地にまかれたものとは、こういう人たちのことである。御言を聞いて受けいれ、三十倍、六十倍、百倍の実を結ぶのである」。
Mark JapKougo 4:21  また彼らに言われた、「ますの下や寝台の下に置くために、あかりを持ってくることがあろうか。燭台の上に置くためではないか。
Mark JapKougo 4:22  なんでも、隠されているもので、現れないものはなく、秘密にされているもので、明るみに出ないものはない。
Mark JapKougo 4:24  また彼らに言われた、「聞くことがらに注意しなさい。あなたがたの量るそのはかりで、自分にも量り与えられ、その上になお増し加えられるであろう。
Mark JapKougo 4:25  だれでも、持っている人は更に与えられ、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう」。
Mark JapKougo 4:26  また言われた、「神の国は、ある人が地に種をまくようなものである。
Mark JapKougo 4:27  夜昼、寝起きしている間に、種は芽を出して育って行くが、どうしてそうなるのか、その人は知らない。
Mark JapKougo 4:28  地はおのずから実を結ばせるもので、初めに芽、つぎに穂、つぎに穂の中に豊かな実ができる。
Mark JapKougo 4:29  実がいると、すぐにかまを入れる。刈入れ時がきたからである」。
Mark JapKougo 4:30  また言われた、「神の国を何に比べようか。また、どんな譬で言いあらわそうか。
Mark JapKougo 4:31  それは一粒のからし種のようなものである。地にまかれる時には、地上のどんな種よりも小さいが、
Mark JapKougo 4:32  まかれると、成長してどんな野菜よりも大きくなり、大きな枝を張り、その陰に空の鳥が宿るほどになる」。
Mark JapKougo 4:33  イエスはこのような多くの譬で、人々の聞く力にしたがって、御言を語られた。
Mark JapKougo 4:34  譬によらないでは語られなかったが、自分の弟子たちには、ひそかにすべてのことを解き明かされた。
Mark JapKougo 4:35  さてその日、夕方になると、イエスは弟子たちに、「向こう岸へ渡ろう」と言われた。
Mark JapKougo 4:36  そこで、彼らは群衆をあとに残し、イエスが舟に乗っておられるまま、乗り出した。ほかの舟も一緒に行った。
Mark JapKougo 4:37  すると、激しい突風が起り、波が舟の中に打ち込んできて、舟に満ちそうになった。
Mark JapKougo 4:38  ところがイエス自身は、舳の方でまくらをして、眠っておられた。そこで、弟子たちはイエスをおこして、「先生、わたしどもがおぼれ死んでも、おかまいにならないのですか」と言った。
Mark JapKougo 4:39  イエスは起きあがって風をしかり、海にむかって、「静まれ、黙れ」と言われると、風はやんで、大なぎになった。
Mark JapKougo 4:40  イエスは彼らに言われた、「なぜ、そんなにこわがるのか。どうして信仰がないのか」。
Mark JapKougo 4:41  彼らは恐れおののいて、互に言った、「いったい、この方はだれだろう。風も海も従わせるとは」。
Chapter 5
Mark JapKougo 5:1  こうして彼らは海の向こう岸、ゲラサ人の地に着いた。
Mark JapKougo 5:2  それから、イエスが舟からあがられるとすぐに、けがれた霊につかれた人が墓場から出てきて、イエスに出会った。
Mark JapKougo 5:3  この人は墓場をすみかとしており、もはやだれも、鎖でさえも彼をつなぎとめて置けなかった。
Mark JapKougo 5:4  彼はたびたび足かせや鎖でつながれたが、鎖を引きちぎり、足かせを砕くので、だれも彼を押えつけることができなかったからである。
Mark JapKougo 5:5  そして、夜昼たえまなく墓場や山で叫びつづけて、石で自分のからだを傷つけていた。
Mark JapKougo 5:6  ところが、この人がイエスを遠くから見て、走り寄って拝し、
Mark JapKougo 5:7  大声で叫んで言った、「いと高き神の子イエスよ、あなたはわたしとなんの係わりがあるのです。神に誓ってお願いします。どうぞ、わたしを苦しめないでください」。
Mark JapKougo 5:8  それは、イエスが、「けがれた霊よ、この人から出て行け」と言われたからである。
Mark JapKougo 5:9  また彼に、「なんという名前か」と尋ねられると、「レギオンと言います。大ぜいなのですから」と答えた。
Mark JapKougo 5:10  そして、自分たちをこの土地から追い出さないようにと、しきりに願いつづけた。
Mark JapKougo 5:11  さて、そこの山の中腹に、豚の大群が飼ってあった。
Mark JapKougo 5:12  霊はイエスに願って言った、「わたしどもを、豚にはいらせてください。その中へ送ってください」。
Mark JapKougo 5:13  イエスがお許しになったので、けがれた霊どもは出て行って、豚の中へはいり込んだ。すると、その群れは二千匹ばかりであったが、がけから海へなだれを打って駆け下り、海の中でおぼれ死んでしまった。
Mark JapKougo 5:14  豚を飼う者たちが逃げ出して、町や村にふれまわったので、人々は何事が起ったのかと見にきた。
Mark JapKougo 5:15  そして、イエスのところにきて、悪霊につかれた人が着物を着て、正気になってすわっており、それがレギオンを宿していた者であるのを見て、恐れた。
Mark JapKougo 5:16  また、それを見た人たちは、悪霊につかれた人の身に起った事と豚のこととを、彼らに話して聞かせた。
Mark JapKougo 5:17  そこで、人々はイエスに、この地方から出て行っていただきたいと、頼みはじめた。
Mark JapKougo 5:18  イエスが舟に乗ろうとされると、悪霊につかれていた人がお供をしたいと願い出た。
Mark JapKougo 5:19  しかし、イエスはお許しにならないで、彼に言われた、「あなたの家族のもとに帰って、主がどんなに大きなことをしてくださったか、またどんなにあわれんでくださったか、それを知らせなさい」。
Mark JapKougo 5:20  そこで、彼は立ち去り、そして自分にイエスがしてくださったことを、ことごとくデカポリスの地方に言いひろめ出したので、人々はみな驚き怪しんだ。
Mark JapKougo 5:21  イエスがまた舟で向こう岸へ渡られると、大ぜいの群衆がみもとに集まってきた。イエスは海べにおられた。
Mark JapKougo 5:22  そこへ、会堂司のひとりであるヤイロという者がきて、イエスを見かけるとその足もとにひれ伏し、
Mark JapKougo 5:23  しきりに願って言った、「わたしの幼い娘が死にかかっています。どうぞ、その子がなおって助かりますように、おいでになって、手をおいてやってください」。
Mark JapKougo 5:24  そこで、イエスは彼と一緒に出かけられた。大ぜいの群衆もイエスに押し迫りながら、ついて行った。
Mark JapKougo 5:25  さてここに、十二年間も長血をわずらっている女がいた。
Mark JapKougo 5:26  多くの医者にかかって、さんざん苦しめられ、その持ち物をみな費してしまったが、なんのかいもないばかりか、かえってますます悪くなる一方であった。
Mark JapKougo 5:27  この女がイエスのことを聞いて、群衆の中にまぎれ込み、うしろから、み衣にさわった。
Mark JapKougo 5:28  それは、せめて、み衣にでもさわれば、なおしていただけるだろうと、思っていたからである。
Mark JapKougo 5:29  すると、血の元がすぐにかわき、女は病気がなおったことを、その身に感じた。
Mark JapKougo 5:30  イエスはすぐ、自分の内から力が出て行ったことに気づかれて、群衆の中で振り向き、「わたしの着物にさわったのはだれか」と言われた。
Mark JapKougo 5:31  そこで弟子たちが言った、「ごらんのとおり、群衆があなたに押し迫っていますのに、だれがさわったかと、おっしゃるのですか」。
Mark JapKougo 5:32  しかし、イエスはさわった者を見つけようとして、見まわしておられた。
Mark JapKougo 5:33  その女は自分の身に起ったことを知って、恐れおののきながら進み出て、みまえにひれ伏して、すべてありのままを申し上げた。
Mark JapKougo 5:34  イエスはその女に言われた、「娘よ、あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい。すっかりなおって、達者でいなさい」。
Mark JapKougo 5:35  イエスが、まだ話しておられるうちに、会堂司の家から人々がきて言った、「あなたの娘はなくなりました。このうえ、先生を煩わすには及びますまい」。
Mark JapKougo 5:36  イエスはその話している言葉を聞き流して、会堂司に言われた、「恐れることはない。ただ信じなさい」。
Mark JapKougo 5:37  そしてペテロ、ヤコブ、ヤコブの兄弟ヨハネのほかは、ついて来ることを、だれにもお許しにならなかった。
Mark JapKougo 5:38  彼らが会堂司の家に着くと、イエスは人々が大声で泣いたり、叫んだりして、騒いでいるのをごらんになり、
Mark JapKougo 5:39  内にはいって、彼らに言われた、「なぜ泣き騒いでいるのか。子供は死んだのではない。眠っているだけである」。
Mark JapKougo 5:40  人々はイエスをあざ笑った。しかし、イエスはみんなの者を外に出し、子供の父母と供の者たちだけを連れて、子供のいる所にはいって行かれた。
Mark JapKougo 5:41  そして子供の手を取って、「タリタ、クミ」と言われた。それは、「少女よ、さあ、起きなさい」という意味である。
Mark JapKougo 5:42  すると、少女はすぐに起き上がって、歩き出した。十二歳にもなっていたからである。彼らはたちまち非常な驚きに打たれた。
Mark JapKougo 5:43  イエスは、だれにもこの事を知らすなと、きびしく彼らに命じ、また、少女に食物を与えるようにと言われた。
Chapter 6
Mark JapKougo 6:1  イエスはそこを去って、郷里に行かれたが、弟子たちも従って行った。
Mark JapKougo 6:2  そして、安息日になったので、会堂で教えはじめられた。それを聞いた多くの人々は、驚いて言った、「この人は、これらのことをどこで習ってきたのか。また、この人の授かった知恵はどうだろう。このような力あるわざがその手で行われているのは、どうしてか。
Mark JapKougo 6:3  この人は大工ではないか。マリヤのむすこで、ヤコブ、ヨセ、ユダ、シモンの兄弟ではないか。またその姉妹たちも、ここにわたしたちと一緒にいるではないか」。こうして彼らはイエスにつまずいた。
Mark JapKougo 6:4  イエスは言われた、「預言者は、自分の郷里、親族、家以外では、どこででも敬われないことはない」。
Mark JapKougo 6:5  そして、そこでは力あるわざを一つもすることができず、ただ少数の病人に手をおいていやされただけであった。
Mark JapKougo 6:6  そして、彼らの不信仰を驚き怪しまれた。それからイエスは、附近の村々を巡りあるいて教えられた。
Mark JapKougo 6:7  また十二弟子を呼び寄せ、ふたりずつつかわすことにして、彼らにけがれた霊を制する権威を与え、
Mark JapKougo 6:8  また旅のために、つえ一本のほかには何も持たないように、パンも、袋も、帯の中に銭も持たず、
Mark JapKougo 6:9  ただわらじをはくだけで、下着も二枚は着ないように命じられた。
Mark JapKougo 6:10  そして彼らに言われた、「どこへ行っても、家にはいったなら、その土地を去るまでは、そこにとどまっていなさい。
Mark JapKougo 6:11  また、あなたがたを迎えず、あなたがたの話を聞きもしない所があったなら、そこから出て行くとき、彼らに対する抗議のしるしに、足の裏のちりを払い落しなさい」。
Mark JapKougo 6:12  そこで、彼らは出て行って、悔改めを宣べ伝え、
Mark JapKougo 6:13  多くの悪霊を追い出し、大ぜいの病人に油をぬっていやした。
Mark JapKougo 6:14  さて、イエスの名が知れわたって、ヘロデ王の耳にはいった。ある人々は「バプテスマのヨハネが、死人の中からよみがえってきたのだ。それで、あのような力が彼のうちに働いているのだ」と言い、
Mark JapKougo 6:15  他の人々は「彼はエリヤだ」と言い、また他の人々は「昔の預言者のような預言者だ」と言った。
Mark JapKougo 6:16  ところが、ヘロデはこれを聞いて、「わたしが首を切ったあのヨハネがよみがえったのだ」と言った。
Mark JapKougo 6:17  このヘロデは、自分の兄弟ピリポの妻ヘロデヤをめとったが、そのことで、人をつかわし、ヨハネを捕えて獄につないだ。
Mark JapKougo 6:18  それは、ヨハネがヘロデに、「兄弟の妻をめとるのは、よろしくない」と言ったからである。
Mark JapKougo 6:19  そこで、ヘロデヤはヨハネを恨み、彼を殺そうと思っていたが、できないでいた。
Mark JapKougo 6:20  それはヘロデが、ヨハネは正しくて聖なる人であることを知って、彼を恐れ、彼に保護を加え、またその教を聞いて非常に悩みながらも、なお喜んで聞いていたからである。
Mark JapKougo 6:21  ところが、よい機会がきた。ヘロデは自分の誕生日の祝に、高官や将校やガリラヤの重立った人たちを招いて宴会を催したが、
Mark JapKougo 6:22  そこへ、このヘロデヤの娘がはいってきて舞をまい、ヘロデをはじめ列座の人たちを喜ばせた。そこで王はこの少女に「ほしいものはなんでも言いなさい。あなたにあげるから」と言い、
Mark JapKougo 6:23  さらに「ほしければ、この国の半分でもあげよう」と誓って言った。
Mark JapKougo 6:24  そこで少女は座をはずして、母に「何をお願いしましょうか」と尋ねると、母は「バプテスマのヨハネの首を」と答えた。
Mark JapKougo 6:25  するとすぐ、少女は急いで王のところに行って願った、「今すぐに、バプテスマのヨハネの首を盆にのせて、それをいただきとうございます」。
Mark JapKougo 6:26  王は非常に困ったが、いったん誓ったのと、また列座の人たちの手前、少女の願いを退けることを好まなかった。
Mark JapKougo 6:27  そこで、王はすぐに衛兵をつかわし、ヨハネの首を持って来るように命じた。衛兵は出て行き、獄中でヨハネの首を切り、
Mark JapKougo 6:28  盆にのせて持ってきて少女に与え、少女はそれを母にわたした。
Mark JapKougo 6:29  ヨハネの弟子たちはこのことを聞き、その死体を引き取りにきて、墓に納めた。
Mark JapKougo 6:30  さて、使徒たちはイエスのもとに集まってきて、自分たちがしたことや教えたことを、みな報告した。
Mark JapKougo 6:31  するとイエスは彼らに言われた、「さあ、あなたがたは、人を避けて寂しい所へ行って、しばらく休むがよい」。それは、出入りする人が多くて、食事をする暇もなかったからである。
Mark JapKougo 6:32  そこで彼らは人を避け、舟に乗って寂しい所へ行った。
Mark JapKougo 6:33  ところが、多くの人々は彼らが出かけて行くのを見、それと気づいて、方々の町々からそこへ、一せいに駆けつけ、彼らより先に着いた。
Mark JapKougo 6:34  イエスは舟から上がって大ぜいの群衆をごらんになり、飼う者のない羊のようなその有様を深くあわれんで、いろいろと教えはじめられた。
Mark JapKougo 6:35  ところが、はや時もおそくなったので、弟子たちはイエスのもとにきて言った、「ここは寂しい所でもあり、もう時もおそくなりました。
Mark JapKougo 6:36  みんなを解散させ、めいめいで何か食べる物を買いに、まわりの部落や村々へ行かせてください」。
Mark JapKougo 6:37  イエスは答えて言われた、「あなたがたの手で食物をやりなさい」。弟子たちは言った、「わたしたちが二百デナリものパンを買ってきて、みんなに食べさせるのですか」。
Mark JapKougo 6:38  するとイエスは言われた、「パンは幾つあるか。見てきなさい」。彼らは確かめてきて、「五つあります。それに魚が二ひき」と言った。
Mark JapKougo 6:39  そこでイエスは、みんなを組々に分けて、青草の上にすわらせるように命じられた。
Mark JapKougo 6:40  人々は、あるいは百人ずつ、あるいは五十人ずつ、列をつくってすわった。
Mark JapKougo 6:41  それから、イエスは五つのパンと二ひきの魚とを手に取り、天を仰いでそれを祝福し、パンをさき、弟子たちにわたして配らせ、また、二ひきの魚もみんなにお分けになった。
Mark JapKougo 6:43  そこで、パンくずや魚の残りを集めると、十二のかごにいっぱいになった。
Mark JapKougo 6:44  パンを食べた者は男五千人であった。
Mark JapKougo 6:45  それからすぐ、イエスは自分で群衆を解散させておられる間に、しいて弟子たちを舟に乗り込ませ、向こう岸のベツサイダへ先におやりになった。
Mark JapKougo 6:46  そして群衆に別れてから、祈るために山へ退かれた。
Mark JapKougo 6:47  夕方になったとき、舟は海のまん中に出ており、イエスだけが陸地におられた。
Mark JapKougo 6:48  ところが逆風が吹いていたために、弟子たちがこぎ悩んでいるのをごらんになって、夜明けの四時ごろ、海の上を歩いて彼らに近づき、そのそばを通り過ぎようとされた。
Mark JapKougo 6:49  彼らはイエスが海の上を歩いておられるのを見て、幽霊だと思い、大声で叫んだ。
Mark JapKougo 6:50  みんなの者がそれを見て、おじ恐れたからである。しかし、イエスはすぐ彼らに声をかけ、「しっかりするのだ。わたしである。恐れることはない」と言われた。
Mark JapKougo 6:51  そして、彼らの舟に乗り込まれると、風はやんだ。彼らは心の中で、非常に驚いた。
Mark JapKougo 6:52  先のパンのことを悟らず、その心が鈍くなっていたからである。
Mark JapKougo 6:53  彼らは海を渡り、ゲネサレの地に着いて舟をつないだ。
Mark JapKougo 6:54  そして舟からあがると、人々はすぐイエスと知って、
Mark JapKougo 6:55  その地方をあまねく駆けめぐり、イエスがおられると聞けば、どこへでも病人を床にのせて運びはじめた。
Mark JapKougo 6:56  そして、村でも町でも部落でも、イエスがはいって行かれる所では、病人たちをその広場におき、せめてその上着のふさにでも、さわらせてやっていただきたいと、お願いした。そしてさわった者は皆いやされた。
Chapter 7
Mark JapKougo 7:1  さて、パリサイ人と、ある律法学者たちとが、エルサレムからきて、イエスのもとに集まった。
Mark JapKougo 7:2  そして弟子たちのうちに、不浄な手、すなわち洗わない手で、パンを食べている者があるのを見た。
Mark JapKougo 7:3  もともと、パリサイ人をはじめユダヤ人はみな、昔の人の言伝えをかたく守って、念入りに手を洗ってからでないと、食事をしない。
Mark JapKougo 7:4  また市場から帰ったときには、身を清めてからでないと、食事をせず、なおそのほかにも、杯、鉢、銅器を洗うことなど、昔から受けついでかたく守っている事が、たくさんあった。
Mark JapKougo 7:5  そこで、パリサイ人と律法学者たちとは、イエスに尋ねた、「なぜ、あなたの弟子たちは、昔の人の言伝えに従って歩まないで、不浄な手でパンを食べるのですか」。
Mark JapKougo 7:6  イエスは言われた、「イザヤは、あなたがた偽善者について、こう書いているが、それは適切な預言である、『この民は、口さきではわたしを敬うが、その心はわたしから遠く離れている。
Mark JapKougo 7:7  人間のいましめを教として教え、無意味にわたしを拝んでいる』。
Mark JapKougo 7:8  あなたがたは、神のいましめをさしおいて、人間の言伝えを固執している」。
Mark JapKougo 7:9  また、言われた、「あなたがたは、自分たちの言伝えを守るために、よくも神のいましめを捨てたものだ。
Mark JapKougo 7:10  モーセは言ったではないか、『父と母とを敬え』、また『父または母をののしる者は、必ず死に定められる』と。
Mark JapKougo 7:11  それだのに、あなたがたは、もし人が父または母にむかって、あなたに差上げるはずのこのものはコルバン、すなわち、供え物ですと言えば、それでよいとして、
Mark JapKougo 7:12  その人は父母に対して、もう何もしないで済むのだと言っている。
Mark JapKougo 7:13  こうしてあなたがたは、自分たちが受けついだ言伝えによって、神の言を無にしている。また、このような事をしばしばおこなっている」。
Mark JapKougo 7:14  それから、イエスは再び群衆を呼び寄せて言われた、「あなたがたはみんな、わたしの言うことを聞いて悟るがよい。
Mark JapKougo 7:15  すべて外から人の中にはいって、人をけがしうるものはない。かえって、人の中から出てくるものが、人をけがすのである。〔
Mark JapKougo 7:17  イエスが群衆を離れて家にはいられると、弟子たちはこの譬について尋ねた。
Mark JapKougo 7:18  すると、言われた、「あなたがたも、そんなに鈍いのか。すべて、外から人の中にはいって来るものは、人を汚し得ないことが、わからないのか。
Mark JapKougo 7:19  それは人の心の中にはいるのではなく、腹の中にはいり、そして、外に出て行くだけである」。イエスはこのように、どんな食物でもきよいものとされた。
Mark JapKougo 7:20  さらに言われた、「人から出て来るもの、それが人をけがすのである。
Mark JapKougo 7:21  すなわち内部から、人の心の中から、悪い思いが出て来る。不品行、盗み、殺人、
Mark JapKougo 7:22  姦淫、貪欲、邪悪、欺き、好色、妬み、誹り、高慢、愚痴。
Mark JapKougo 7:23  これらの悪はすべて内部から出てきて、人をけがすのである」。
Mark JapKougo 7:24  さて、イエスは、そこを立ち去って、ツロの地方に行かれた。そして、だれにも知れないように、家の中にはいられたが、隠れていることができなかった。
Mark JapKougo 7:25  そして、けがれた霊につかれた幼い娘をもつ女が、イエスのことをすぐ聞きつけてきて、その足もとにひれ伏した。
Mark JapKougo 7:26  この女はギリシヤ人で、スロ・フェニキヤの生れであった。そして、娘から悪霊を追い出してくださいとお願いした。
Mark JapKougo 7:27  イエスは女に言われた、「まず子供たちに十分食べさすべきである。子供たちのパンを取って小犬に投げてやるのは、よろしくない」。
Mark JapKougo 7:28  すると、女は答えて言った、「主よ、お言葉どおりです。でも、食卓の下にいる小犬も、子供たちのパンくずは、いただきます」。
Mark JapKougo 7:29  そこでイエスは言われた、「その言葉で、じゅうぶんである。お帰りなさい。悪霊は娘から出てしまった」。
Mark JapKougo 7:30  そこで、女が家に帰ってみると、その子は床の上に寝ており、悪霊は出てしまっていた。
Mark JapKougo 7:31  それから、イエスはまたツロの地方を去り、シドンを経てデカポリス地方を通りぬけ、ガリラヤの海べにこられた。
Mark JapKougo 7:32  すると人々は、耳が聞えず口のきけない人を、みもとに連れてきて、手を置いてやっていただきたいとお願いした。
Mark JapKougo 7:33  そこで、イエスは彼ひとりを群衆の中から連れ出し、その両耳に指をさし入れ、それから、つばきでその舌を潤し、
Mark JapKougo 7:34  天を仰いでため息をつき、その人に「エパタ」と言われた。これは「開けよ」という意味である。
Mark JapKougo 7:35  すると彼の耳が開け、その舌のもつれもすぐ解けて、はっきりと話すようになった。
Mark JapKougo 7:36  イエスは、この事をだれにも言ってはならぬと、人々に口止めをされたが、口止めをすればするほど、かえって、ますます言いひろめた。
Mark JapKougo 7:37  彼らは、ひとかたならず驚いて言った、「このかたのなさった事は、何もかも、すばらしい。耳の聞えない者を聞えるようにしてやり、口のきけない者をきけるようにしておやりになった」。
Chapter 8
Mark JapKougo 8:1  そのころ、また大ぜいの群衆が集まっていたが、何も食べるものがなかったので、イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた、
Mark JapKougo 8:2  「この群衆がかわいそうである。もう三日間もわたしと一緒にいるのに、何も食べるものがない。
Mark JapKougo 8:3  もし、彼らを空腹のまま家に帰らせるなら、途中で弱り切ってしまうであろう。それに、なかには遠くからきている者もある」。
Mark JapKougo 8:4  弟子たちは答えた、「こんな荒野で、どこからパンを手に入れて、これらの人々にじゅうぶん食べさせることができましょうか」。
Mark JapKougo 8:5  イエスが弟子たちに、「パンはいくつあるか」と尋ねられると、「七つあります」と答えた。
Mark JapKougo 8:6  そこでイエスは群衆に地にすわるように命じられた。そして七つのパンを取り、感謝してこれをさき、人々に配るように弟子たちに渡されると、弟子たちはそれを群衆に配った。
Mark JapKougo 8:7  また小さい魚が少しばかりあったので、祝福して、それをも人々に配るようにと言われた。
Mark JapKougo 8:8  彼らは食べて満腹した。そして残ったパンくずを集めると、七かごになった。
Mark JapKougo 8:9  人々の数はおよそ四千人であった。それからイエスは彼らを解散させ、
Mark JapKougo 8:10  すぐ弟子たちと共に舟に乗って、ダルマヌタの地方へ行かれた。
Mark JapKougo 8:11  パリサイ人たちが出てきて、イエスを試みようとして議論をしかけ、天からのしるしを求めた。
Mark JapKougo 8:12  イエスは、心の中で深く嘆息して言われた、「なぜ、今の時代はしるしを求めるのだろう。よく言い聞かせておくが、しるしは今の時代には決して与えられない」。
Mark JapKougo 8:13  そして、イエスは彼らをあとに残し、また舟に乗って向こう岸へ行かれた。
Mark JapKougo 8:14  弟子たちはパンを持って来るのを忘れていたので、舟の中にはパン一つしか持ち合わせがなかった。
Mark JapKougo 8:15  そのとき、イエスは彼らを戒めて、「パリサイ人のパン種とヘロデのパン種とを、よくよく警戒せよ」と言われた。
Mark JapKougo 8:16  弟子たちは、これは自分たちがパンを持っていないためであろうと、互に論じ合った。
Mark JapKougo 8:17  イエスはそれと知って、彼らに言われた、「なぜ、パンがないからだと論じ合っているのか。まだわからないのか、悟らないのか。あなたがたの心は鈍くなっているのか。
Mark JapKougo 8:18  目があっても見えないのか。耳があっても聞えないのか。まだ思い出さないのか。
Mark JapKougo 8:19  五つのパンをさいて五千人に分けたとき、拾い集めたパンくずは、幾つのかごになったか」。弟子たちは答えた、「十二かごです」。
Mark JapKougo 8:20  「七つのパンを四千人に分けたときには、パンくずを幾つのかごに拾い集めたか」。「七かごです」と答えた。
Mark JapKougo 8:21  そこでイエスは彼らに言われた、「まだ悟らないのか」。
Mark JapKougo 8:22  そのうちに、彼らはベツサイダに着いた。すると人々が、ひとりの盲人を連れてきて、さわってやっていただきたいとお願いした。
Mark JapKougo 8:23  イエスはこの盲人の手をとって、村の外に連れ出し、その両方の目につばきをつけ、両手を彼に当てて、「何か見えるか」と尋ねられた。
Mark JapKougo 8:24  すると彼は顔を上げて言った、「人が見えます。木のように見えます。歩いているようです」。
Mark JapKougo 8:25  それから、イエスが再び目の上に両手を当てられると、盲人は見つめているうちに、なおってきて、すべてのものがはっきりと見えだした。
Mark JapKougo 8:26  そこでイエスは、「村にはいってはいけない」と言って、彼を家に帰された。
Mark JapKougo 8:27  さて、イエスは弟子たちとピリポ・カイザリヤの村々へ出かけられたが、その途中で、弟子たちに尋ねて言われた、「人々は、わたしをだれと言っているか」。
Mark JapKougo 8:28  彼らは答えて言った、「バプテスマのヨハネだと、言っています。また、エリヤだと言い、また、預言者のひとりだと言っている者もあります」。
Mark JapKougo 8:29  そこでイエスは彼らに尋ねられた、「それでは、あなたがたはわたしをだれと言うか」。ペテロが答えて言った、「あなたこそキリストです」。
Mark JapKougo 8:30  するとイエスは、自分のことをだれにも言ってはいけないと、彼らを戒められた。
Mark JapKougo 8:31  それから、人の子は必ず多くの苦しみを受け、長老、祭司長、律法学者たちに捨てられ、また殺され、そして三日の後によみがえるべきことを、彼らに教えはじめ、
Mark JapKougo 8:32  しかもあからさまに、この事を話された。すると、ペテロはイエスをわきへ引き寄せて、いさめはじめたので、
Mark JapKougo 8:33  イエスは振り返って、弟子たちを見ながら、ペテロをしかって言われた、「サタンよ、引きさがれ。あなたは神のことを思わないで、人のことを思っている」。
Mark JapKougo 8:34  それから群衆を弟子たちと一緒に呼び寄せて、彼らに言われた、「だれでもわたしについてきたいと思うなら、自分を捨て、自分の十字架を負うて、わたしに従ってきなさい。
Mark JapKougo 8:35  自分の命を救おうと思う者はそれを失い、わたしのため、また福音のために、自分の命を失う者は、それを救うであろう。
Mark JapKougo 8:36  人が全世界をもうけても、自分の命を損したら、なんの得になろうか。
Mark JapKougo 8:37  また、人はどんな代価を払って、その命を買いもどすことができようか。
Mark JapKougo 8:38  邪悪で罪深いこの時代にあって、わたしとわたしの言葉とを恥じる者に対しては、人の子もまた、父の栄光のうちに聖なる御使たちと共に来るときに、その者を恥じるであろう」。
Chapter 9
Mark JapKougo 9:1  また、彼らに言われた、「よく聞いておくがよい。神の国が力をもって来るのを見るまでは、決して死を味わわない者が、ここに立っている者の中にいる」。
Mark JapKougo 9:2  六日の後、イエスは、ただペテロ、ヤコブ、ヨハネだけを連れて、高い山に登られた。ところが、彼らの目の前でイエスの姿が変り、
Mark JapKougo 9:3  その衣は真白く輝き、どんな布さらしでも、それほどに白くすることはできないくらいになった。
Mark JapKougo 9:4  すると、エリヤがモーセと共に彼らに現れて、イエスと語り合っていた。
Mark JapKougo 9:5  ペテロはイエスにむかって言った、「先生、わたしたちがここにいるのは、すばらしいことです。それで、わたしたちは小屋を三つ建てましょう。一つはあなたのために、一つはモーセのために、一つはエリヤのために」。
Mark JapKougo 9:6  そう言ったのは、みんなの者が非常に恐れていたので、ペテロは何を言ってよいか、わからなかったからである。
Mark JapKougo 9:7  すると、雲がわき起って彼らをおおった。そして、その雲の中から声があった、「これはわたしの愛する子である。これに聞け」。
Mark JapKougo 9:8  彼らは急いで見まわしたが、もはやだれも見えず、ただイエスだけが、自分たちと一緒におられた。
Mark JapKougo 9:9  一同が山を下って来るとき、イエスは「人の子が死人の中からよみがえるまでは、いま見たことをだれにも話してはならない」と、彼らに命じられた。
Mark JapKougo 9:10  彼らはこの言葉を心にとめ、死人の中からよみがえるとはどういうことかと、互に論じ合った。
Mark JapKougo 9:11  そしてイエスに尋ねた、「なぜ、律法学者たちは、エリヤが先に来るはずだと言っているのですか」。
Mark JapKougo 9:12  イエスは言われた、「確かに、エリヤが先にきて、万事を元どおりに改める。しかし、人の子について、彼が多くの苦しみを受け、かつ恥ずかしめられると、書いてあるのはなぜか。
Mark JapKougo 9:13  しかしあなたがたに言っておく、エリヤはすでにきたのだ。そして彼について書いてあるように、人々は自分かってに彼をあしらった」。
Mark JapKougo 9:14  さて、彼らがほかの弟子たちの所にきて見ると、大ぜいの群衆が弟子たちを取り囲み、そして律法学者たちが彼らと論じ合っていた。
Mark JapKougo 9:15  群衆はみな、すぐイエスを見つけて、非常に驚き、駆け寄ってきて、あいさつをした。
Mark JapKougo 9:16  イエスが彼らに、「あなたがたは彼らと何を論じているのか」と尋ねられると、
Mark JapKougo 9:17  群衆のひとりが答えた、「先生、おしの霊につかれているわたしのむすこを、こちらに連れて参りました。
Mark JapKougo 9:18  霊がこのむすこにとりつきますと、どこででも彼を引き倒し、それから彼はあわを吹き、歯をくいしばり、からだをこわばらせてしまいます。それでお弟子たちに、この霊を追い出してくださるように願いましたが、できませんでした」。
Mark JapKougo 9:19  イエスは答えて言われた、「ああ、なんという不信仰な時代であろう。いつまで、わたしはあなたがたと一緒におられようか。いつまで、あなたがたに我慢ができようか。その子をわたしの所に連れてきなさい」。
Mark JapKougo 9:20  そこで人々は、その子をみもとに連れてきた。霊がイエスを見るや否や、その子をひきつけさせたので、子は地に倒れ、あわを吹きながらころげまわった。
Mark JapKougo 9:21  そこで、イエスが父親に「いつごろから、こんなになったのか」と尋ねられると、父親は答えた、「幼い時からです。
Mark JapKougo 9:22  霊はたびたび、この子を火の中、水の中に投げ入れて、殺そうとしました。しかしできますれば、わたしどもをあわれんでお助けください」。
Mark JapKougo 9:23  イエスは彼に言われた、「もしできれば、と言うのか。信ずる者には、どんな事でもできる」。
Mark JapKougo 9:24  その子の父親はすぐ叫んで言った、「信じます。不信仰なわたしを、お助けください」。
Mark JapKougo 9:25  イエスは群衆が駆け寄って来るのをごらんになって、けがれた霊をしかって言われた、「おしとつんぼの霊よ、わたしがおまえに命じる。この子から出て行け。二度と、はいって来るな」。
Mark JapKougo 9:26  すると霊は叫び声をあげ、激しく引きつけさせて出て行った。その子は死人のようになったので、多くの人は、死んだのだと言った。
Mark JapKougo 9:27  しかし、イエスが手を取って起されると、その子は立ち上がった。
Mark JapKougo 9:28  家にはいられたとき、弟子たちはひそかにお尋ねした、「わたしたちは、どうして霊を追い出せなかったのですか」。
Mark JapKougo 9:29  すると、イエスは言われた、「このたぐいは、祈によらなければ、どうしても追い出すことはできない」。
Mark JapKougo 9:30  それから彼らはそこを立ち去り、ガリラヤをとおって行ったが、イエスは人に気づかれるのを好まれなかった。
Mark JapKougo 9:31  それは、イエスが弟子たちに教えて、「人の子は人々の手にわたされ、彼らに殺され、殺されてから三日の後によみがえるであろう」と言っておられたからである。
Mark JapKougo 9:32  しかし、彼らはイエスの言われたことを悟らず、また尋ねるのを恐れていた。
Mark JapKougo 9:33  それから彼らはカペナウムにきた。そして家におられるとき、イエスは弟子たちに尋ねられた、「あなたがたは途中で何を論じていたのか」。
Mark JapKougo 9:34  彼らは黙っていた。それは途中で、だれが一ばん偉いかと、互に論じ合っていたからである。
Mark JapKougo 9:35  そこで、イエスはすわって十二弟子を呼び、そして言われた、「だれでも一ばん先になろうと思うならば、一ばんあとになり、みんなに仕える者とならねばならない」。
Mark JapKougo 9:36  そして、ひとりの幼な子をとりあげて、彼らのまん中に立たせ、それを抱いて言われた。
Mark JapKougo 9:37  「だれでも、このような幼な子のひとりを、わたしの名のゆえに受けいれる者は、わたしを受けいれるのである。そして、わたしを受けいれる者は、わたしを受けいれるのではなく、わたしをおつかわしになったかたを受けいれるのである」。
Mark JapKougo 9:38  ヨハネがイエスに言った、「先生、わたしたちについてこない者が、あなたの名を使って悪霊を追い出しているのを見ましたが、その人はわたしたちについてこなかったので、やめさせました」。
Mark JapKougo 9:39  イエスは言われた、「やめさせないがよい。だれでもわたしの名で力あるわざを行いながら、すぐそのあとで、わたしをそしることはできない。
Mark JapKougo 9:40  わたしたちに反対しない者は、わたしたちの味方である。
Mark JapKougo 9:41  だれでも、キリストについている者だというので、あなたがたに水一杯でも飲ませてくれるものは、よく言っておくが、決してその報いからもれることはないであろう。
Mark JapKougo 9:42  また、わたしを信じるこれらの小さい者のひとりをつまずかせる者は、大きなひきうすを首にかけられて海に投げ込まれた方が、はるかによい。
Mark JapKougo 9:43  もし、あなたの片手が罪を犯させるなら、それを切り捨てなさい。両手がそろったままで地獄の消えない火の中に落ち込むよりは、かたわになって命に入る方がよい。〔
Mark JapKougo 9:44  地獄では、うじがつきず、火も消えることがない。〕
Mark JapKougo 9:45  もし、あなたの片足が罪を犯させるなら、それを切り捨てなさい。両足がそろったままで地獄に投げ入れられるよりは、片足で命に入る方がよい。〔
Mark JapKougo 9:46  地獄では、うじがつきず、火も消えることがない。〕
Mark JapKougo 9:47  もし、あなたの片目が罪を犯させるなら、それを抜き出しなさい。両眼がそろったままで地獄に投げ入れられるよりは、片目になって神の国に入る方がよい。
Mark JapKougo 9:48  地獄では、うじがつきず、火も消えることがない。
Mark JapKougo 9:49  人はすべて火で塩づけられねばならない。
Mark JapKougo 9:50  塩はよいものである。しかし、もしその塩の味がぬけたら、何によってその味が取りもどされようか。あなたがた自身の内に塩を持ちなさい。そして、互に和らぎなさい」。
Chapter 10
Mark JapKougo 10:1  それから、イエスはそこを去って、ユダヤの地方とヨルダンの向こう側へ行かれたが、群衆がまた寄り集まったので、いつものように、また教えておられた。
Mark JapKougo 10:2  そのとき、パリサイ人たちが近づいてきて、イエスを試みようとして質問した、「夫はその妻を出しても差しつかえないでしょうか」。
Mark JapKougo 10:3  イエスは答えて言われた、「モーセはあなたがたになんと命じたか」。
Mark JapKougo 10:4  彼らは言った、「モーセは、離縁状を書いて妻を出すことを許しました」。
Mark JapKougo 10:5  そこでイエスは言われた、「モーセはあなたがたの心が、かたくななので、あなたがたのためにこの定めを書いたのである。
Mark JapKougo 10:6  しかし、天地創造の初めから、『神は人を男と女とに造られた。
Mark JapKougo 10:8  ふたりの者は一体となるべきである』。彼らはもはや、ふたりではなく一体である。
Mark JapKougo 10:9  だから、神が合わせられたものを、人は離してはならない」。
Mark JapKougo 10:10  家にはいってから、弟子たちはまたこのことについて尋ねた。
Mark JapKougo 10:11  そこで、イエスは言われた、「だれでも、自分の妻を出して他の女をめとる者は、その妻に対して姦淫を行うのである。
Mark JapKougo 10:12  また妻が、その夫と別れて他の男にとつぐならば、姦淫を行うのである」。
Mark JapKougo 10:13  イエスにさわっていただくために、人々が幼な子らをみもとに連れてきた。ところが、弟子たちは彼らをたしなめた。
Mark JapKougo 10:14  それを見てイエスは憤り、彼らに言われた、「幼な子らをわたしの所に来るままにしておきなさい。止めてはならない。神の国はこのような者の国である。
Mark JapKougo 10:15  よく聞いておくがよい。だれでも幼な子のように神の国を受けいれる者でなければ、そこにはいることは決してできない」。
Mark JapKougo 10:16  そして彼らを抱き、手をその上において祝福された。
Mark JapKougo 10:17  イエスが道に出て行かれると、ひとりの人が走り寄り、みまえにひざまずいて尋ねた、「よき師よ、永遠の生命を受けるために、何をしたらよいでしょうか」。
Mark JapKougo 10:18  イエスは言われた、「なぜわたしをよき者と言うのか。神ひとりのほかによい者はいない。
Mark JapKougo 10:19  いましめはあなたの知っているとおりである。『殺すな、姦淫するな、盗むな、偽証を立てるな。欺き取るな。父と母とを敬え』」。
Mark JapKougo 10:20  すると、彼は言った、「先生、それらの事はみな、小さい時から守っております」。
Mark JapKougo 10:21  イエスは彼に目をとめ、いつくしんで言われた、「あなたに足りないことが一つある。帰って、持っているものをみな売り払って、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に宝を持つようになろう。そして、わたしに従ってきなさい」。
Mark JapKougo 10:22  すると、彼はこの言葉を聞いて、顔を曇らせ、悲しみながら立ち去った。たくさんの資産を持っていたからである。
Mark JapKougo 10:23  それから、イエスは見まわして、弟子たちに言われた、「財産のある者が神の国にはいるのは、なんとむずかしいことであろう」。
Mark JapKougo 10:24  弟子たちはこの言葉に驚き怪しんだ。イエスは更に言われた、「子たちよ、神の国にはいるのは、なんとむずかしいことであろう。
Mark JapKougo 10:25  富んでいる者が神の国にはいるよりは、らくだが針の穴を通る方が、もっとやさしい」。
Mark JapKougo 10:26  すると彼らはますます驚いて、互に言った、「それでは、だれが救われることができるのだろう」。
Mark JapKougo 10:27  イエスは彼らを見つめて言われた、「人にはできないが、神にはできる。神はなんでもできるからである」。
Mark JapKougo 10:28  ペテロがイエスに言い出した、「ごらんなさい、わたしたちはいっさいを捨てて、あなたに従って参りました」。
Mark JapKougo 10:29  イエスは言われた、「よく聞いておくがよい。だれでもわたしのために、また福音のために、家、兄弟、姉妹、母、父、子、もしくは畑を捨てた者は、
Mark JapKougo 10:30  必ずその百倍を受ける。すなわち、今この時代では家、兄弟、姉妹、母、子および畑を迫害と共に受け、また、きたるべき世では永遠の生命を受ける。
Mark JapKougo 10:31  しかし、多くの先の者はあとになり、あとの者は先になるであろう」。
Mark JapKougo 10:32  さて、一同はエルサレムへ上る途上にあったが、イエスが先頭に立って行かれたので、彼らは驚き怪しみ、従う者たちは恐れた。するとイエスはまた十二弟子を呼び寄せて、自分の身に起ろうとすることについて語りはじめられた、
Mark JapKougo 10:33  「見よ、わたしたちはエルサレムへ上って行くが、人の子は祭司長、律法学者たちの手に引きわたされる。そして彼らは死刑を宣告した上、彼を異邦人に引きわたすであろう。
Mark JapKougo 10:34  また彼をあざけり、つばきをかけ、むち打ち、ついに殺してしまう。そして彼は三日の後によみがえるであろう」。
Mark JapKougo 10:35  さて、ゼベダイの子のヤコブとヨハネとがイエスのもとにきて言った、「先生、わたしたちがお頼みすることは、なんでもかなえてくださるようにお願いします」。
Mark JapKougo 10:36  イエスは彼らに「何をしてほしいと、願うのか」と言われた。
Mark JapKougo 10:37  すると彼らは言った、「栄光をお受けになるとき、ひとりをあなたの右に、ひとりを左にすわるようにしてください」。
Mark JapKougo 10:38  イエスは言われた、「あなたがたは自分が何を求めているのか、わかっていない。あなたがたは、わたしが飲む杯を飲み、わたしが受けるバプテスマを受けることができるか」。
Mark JapKougo 10:39  彼らは「できます」と答えた。するとイエスは言われた、「あなたがたは、わたしが飲む杯を飲み、わたしが受けるバプテスマを受けるであろう。
Mark JapKougo 10:40  しかし、わたしの右、左にすわらせることは、わたしのすることではなく、ただ備えられている人々だけに許されることである」。
Mark JapKougo 10:41  十人の者はこれを聞いて、ヤコブとヨハネとのことで憤慨し出した。
Mark JapKougo 10:42  そこで、イエスは彼らを呼び寄せて言われた、「あなたがたの知っているとおり、異邦人の支配者と見られている人々は、その民を治め、また偉い人たちは、その民の上に権力をふるっている。
Mark JapKougo 10:43  しかし、あなたがたの間では、そうであってはならない。かえって、あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、仕える人となり、
Mark JapKougo 10:44  あなたがたの間でかしらになりたいと思う者は、すべての人の僕とならねばならない。
Mark JapKougo 10:45  人の子がきたのも、仕えられるためではなく、仕えるためであり、また多くの人のあがないとして、自分の命を与えるためである」。
Mark JapKougo 10:46  それから、彼らはエリコにきた。そして、イエスが弟子たちや大ぜいの群衆と共にエリコから出かけられたとき、テマイの子、バルテマイという盲人のこじきが、道ばたにすわっていた。
Mark JapKougo 10:47  ところが、ナザレのイエスだと聞いて、彼は「ダビデの子イエスよ、わたしをあわれんでください」と叫び出した。
Mark JapKougo 10:48  多くの人々は彼をしかって黙らせようとしたが、彼はますます激しく叫びつづけた、「ダビデの子イエスよ、わたしをあわれんでください」。
Mark JapKougo 10:49  イエスは立ちどまって「彼を呼べ」と命じられた。そこで、人々はその盲人を呼んで言った、「喜べ、立て、おまえを呼んでおられる」。
Mark JapKougo 10:50  そこで彼は上着を脱ぎ捨て、踊りあがってイエスのもとにきた。
Mark JapKougo 10:51  イエスは彼にむかって言われた、「わたしに何をしてほしいのか」。その盲人は言った、「先生、見えるようになることです」。
Mark JapKougo 10:52  そこでイエスは言われた、「行け、あなたの信仰があなたを救った」。すると彼は、たちまち見えるようになり、イエスに従って行った。
Chapter 11
Mark JapKougo 11:1  さて、彼らがエルサレムに近づき、オリブの山に沿ったベテパゲ、ベタニヤの附近にきた時、イエスはふたりの弟子をつかわして言われた、
Mark JapKougo 11:2  「むこうの村へ行きなさい。そこにはいるとすぐ、まだだれも乗ったことのないろばの子が、つないであるのを見るであろう。それを解いて引いてきなさい。
Mark JapKougo 11:3  もし、だれかがあなたがたに、なぜそんな事をするのかと言ったなら、主がお入り用なのです。またすぐ、ここへ返してくださいますと、言いなさい」。
Mark JapKougo 11:4  そこで、彼らは出かけて行き、そして表通りの戸口に、ろばの子がつないであるのを見たので、それを解いた。
Mark JapKougo 11:5  すると、そこに立っていた人々が言った、「そのろばの子を解いて、どうするのか」。
Mark JapKougo 11:6  弟子たちは、イエスが言われたとおり彼らに話したので、ゆるしてくれた。
Mark JapKougo 11:7  そこで、弟子たちは、そのろばの子をイエスのところに引いてきて、自分たちの上着をそれに投げかけると、イエスはその上にお乗りになった。
Mark JapKougo 11:8  すると多くの人々は自分たちの上着を道に敷き、また他の人々は葉のついた枝を野原から切ってきて敷いた。
Mark JapKougo 11:9  そして、前に行く者も、あとに従う者も共に叫びつづけた、「ホサナ、主の御名によってきたる者に、祝福あれ。
Mark JapKougo 11:10  今きたる、われらの父ダビデの国に、祝福あれ。いと高き所に、ホサナ」。
Mark JapKougo 11:11  こうしてイエスはエルサレムに着き、宮にはいられた。そして、すべてのものを見まわった後、もはや時もおそくなっていたので、十二弟子と共にベタニヤに出て行かれた。
Mark JapKougo 11:12  翌日、彼らがベタニヤから出かけてきたとき、イエスは空腹をおぼえられた。
Mark JapKougo 11:13  そして、葉の茂ったいちじくの木を遠くからごらんになって、その木に何かありはしないかと近寄られたが、葉のほかは何も見当らなかった。いちじくの季節でなかったからである。
Mark JapKougo 11:14  そこで、イエスはその木にむかって、「今から後いつまでも、おまえの実を食べる者がないように」と言われた。弟子たちはこれを聞いていた。
Mark JapKougo 11:15  それから、彼らはエルサレムにきた。イエスは宮に入り、宮の庭で売り買いしていた人々を追い出しはじめ、両替人の台や、はとを売る者の腰掛をくつがえし、
Mark JapKougo 11:16  また器ものを持って宮の庭を通り抜けるのをお許しにならなかった。
Mark JapKougo 11:17  そして、彼らに教えて言われた、「『わたしの家は、すべての国民の祈の家ととなえらるべきである』と書いてあるではないか。それだのに、あなたがたはそれを強盗の巣にしてしまった」。
Mark JapKougo 11:18  祭司長、律法学者たちはこれを聞いて、どうかしてイエスを殺そうと計った。彼らは、群衆がみなその教に感動していたので、イエスを恐れていたからである。
Mark JapKougo 11:19  夕方になると、イエスと弟子たちとは、いつものように都の外に出て行った。
Mark JapKougo 11:20  朝はやく道をとおっていると、彼らは先のいちじくが根元から枯れているのを見た。
Mark JapKougo 11:21  そこで、ペテロは思い出してイエスに言った、「先生、ごらんなさい。あなたがのろわれたいちじくが、枯れています」。
Mark JapKougo 11:22  イエスは答えて言われた、「神を信じなさい。
Mark JapKougo 11:23  よく聞いておくがよい。だれでもこの山に、動き出して、海の中にはいれと言い、その言ったことは必ず成ると、心に疑わないで信じるなら、そのとおりに成るであろう。
Mark JapKougo 11:24  そこで、あなたがたに言うが、なんでも祈り求めることは、すでにかなえられたと信じなさい。そうすれば、そのとおりになるであろう。
Mark JapKougo 11:25  また立って祈るとき、だれかに対して、何か恨み事があるならば、ゆるしてやりなさい。そうすれば、天にいますあなたがたの父も、あなたがたのあやまちを、ゆるしてくださるであろう。〔
Mark JapKougo 11:26  もしゆるさないならば、天にいますあなたがたの父も、あなたがたのあやまちを、ゆるしてくださらないであろう〕」。
Mark JapKougo 11:27  彼らはまたエルサレムにきた。そして、イエスが宮の内を歩いておられると、祭司長、律法学者、長老たちが、みもとにきて言った、
Mark JapKougo 11:28  「何の権威によってこれらの事をするのですか。だれが、そうする権威を授けたのですか」。
Mark JapKougo 11:29  そこで、イエスは彼らに言われた、「一つだけ尋ねよう。それに答えてほしい。そうしたら、何の権威によって、わたしがこれらの事をするのか、あなたがたに言おう。
Mark JapKougo 11:30  ヨハネのバプテスマは天からであったか、人からであったか、答えなさい」。
Mark JapKougo 11:31  すると、彼らは互に論じて言った、「もし天からだと言えば、では、なぜ彼を信じなかったのか、とイエスは言うだろう。
Mark JapKougo 11:32  しかし、人からだと言えば……」。彼らは群衆を恐れていた。人々が皆、ヨハネを預言者だとほんとうに思っていたからである。
Mark JapKougo 11:33  それで彼らは「わたしたちにはわかりません」と答えた。するとイエスは言われた、「わたしも何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言うまい」。
Chapter 12
Mark JapKougo 12:1  そこでイエスは譬で彼らに語り出された、「ある人がぶどう園を造り、垣をめぐらし、また酒ぶねの穴を掘り、やぐらを立て、それを農夫たちに貸して、旅に出かけた。
Mark JapKougo 12:2  季節になったので、農夫たちのところへ、ひとりの僕を送って、ぶどう園の収穫の分け前を取り立てさせようとした。
Mark JapKougo 12:3  すると、彼らはその僕をつかまえて、袋だたきにし、から手で帰らせた。
Mark JapKougo 12:4  また他の僕を送ったが、その頭をなぐって侮辱した。
Mark JapKougo 12:5  そこでまた他の者を送ったが、今度はそれを殺してしまった。そのほか、なお大ぜいの者を送ったが、彼らを打ったり、殺したりした。
Mark JapKougo 12:6  ここに、もうひとりの者がいた。それは彼の愛子であった。自分の子は敬ってくれるだろうと思って、最後に彼をつかわした。
Mark JapKougo 12:7  すると、農夫たちは『あれはあと取りだ。さあ、これを殺してしまおう。そうしたら、その財産はわれわれのものになるのだ』と話し合い、
Mark JapKougo 12:8  彼をつかまえて殺し、ぶどう園の外に投げ捨てた。
Mark JapKougo 12:9  このぶどう園の主人は、どうするだろうか。彼は出てきて、農夫たちを殺し、ぶどう園を他の人々に与えるであろう。
Mark JapKougo 12:10  あなたがたは、この聖書の句を読んだことがないのか。『家造りらの捨てた石が隅のかしら石になった。
Mark JapKougo 12:11  これは主がなされたことで、わたしたちの目には不思議に見える』」。
Mark JapKougo 12:12  彼らはいまの譬が、自分たちに当てて語られたことを悟ったので、イエスを捕えようとしたが、群衆を恐れた。そしてイエスをそこに残して立ち去った。
Mark JapKougo 12:13  さて、人々はパリサイ人やヘロデ党の者を数人、イエスのもとにつかわして、その言葉じりを捕えようとした。
Mark JapKougo 12:14  彼らはきてイエスに言った、「先生、わたしたちはあなたが真実なかたで、だれをも、はばかられないことを知っています。あなたは人に分け隔てをなさらないで、真理に基いて神の道を教えてくださいます。ところで、カイザルに税金を納めてよいでしょうか、いけないでしょうか。納めるべきでしょうか、納めてはならないのでしょうか」。
Mark JapKougo 12:15  イエスは彼らの偽善を見抜いて言われた、「なぜわたしをためそうとするのか。デナリを持ってきて見せなさい」。
Mark JapKougo 12:16  彼らはそれを持ってきた。そこでイエスは言われた、「これは、だれの肖像、だれの記号か」。彼らは「カイザルのです」と答えた。
Mark JapKougo 12:17  するとイエスは言われた、「カイザルのものはカイザルに、神のものは神に返しなさい」。彼らはイエスに驚嘆した。
Mark JapKougo 12:18  復活ということはないと主張していたサドカイ人たちが、イエスのもとにきて質問した、
Mark JapKougo 12:19  「先生、モーセは、わたしたちのためにこう書いています、『もし、ある人の兄が死んで、その残された妻に、子がない場合には、弟はこの女をめとって、兄のために子をもうけねばならない』。
Mark JapKougo 12:20  ここに、七人の兄弟がいました。長男は妻をめとりましたが、子がなくて死に、
Mark JapKougo 12:21  次男がその女をめとって、また子をもうけずに死に、三男も同様でした。
Mark JapKougo 12:22  こうして、七人ともみな子孫を残しませんでした。最後にその女も死にました。
Mark JapKougo 12:23  復活のとき、彼らが皆よみがえった場合、この女はだれの妻なのでしょうか。七人とも彼女を妻にしたのですが」。
Mark JapKougo 12:24  イエスは言われた、「あなたがたがそんな思い違いをしているのは、聖書も神の力も知らないからではないか。
Mark JapKougo 12:25  彼らが死人の中からよみがえるときには、めとったり、とついだりすることはない。彼らは天にいる御使のようなものである。
Mark JapKougo 12:26  死人がよみがえることについては、モーセの書の柴の篇で、神がモーセに仰せられた言葉を読んだことがないのか。『わたしはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である』とあるではないか。
Mark JapKougo 12:27  神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神である。あなたがたは非常な思い違いをしている」。
Mark JapKougo 12:28  ひとりの律法学者がきて、彼らが互に論じ合っているのを聞き、またイエスが巧みに答えられたのを認めて、イエスに質問した、「すべてのいましめの中で、どれが第一のものですか」。
Mark JapKougo 12:29  イエスは答えられた、「第一のいましめはこれである、『イスラエルよ、聞け。主なるわたしたちの神は、ただひとりの主である。
Mark JapKougo 12:30  心をつくし、精神をつくし、思いをつくし、力をつくして、主なるあなたの神を愛せよ』。
Mark JapKougo 12:31  第二はこれである、『自分を愛するようにあなたの隣り人を愛せよ』。これより大事ないましめは、ほかにない」。
Mark JapKougo 12:32  そこで、この律法学者はイエスに言った、「先生、仰せのとおりです、『神はひとりであって、そのほかに神はない』と言われたのは、ほんとうです。
Mark JapKougo 12:33  また『心をつくし、知恵をつくし、力をつくして神を愛し、また自分を愛するように隣り人を愛する』ということは、すべての燔祭や犠牲よりも、はるかに大事なことです」。
Mark JapKougo 12:34  イエスは、彼が適切な答をしたのを見て言われた、「あなたは神の国から遠くない」。それから後は、イエスにあえて問う者はなかった。
Mark JapKougo 12:35  イエスが宮で教えておられたとき、こう言われた、「律法学者たちは、どうしてキリストをダビデの子だと言うのか。
Mark JapKougo 12:36  ダビデ自身が聖霊に感じて言った、『主はわが主に仰せになった、あなたの敵をあなたの足もとに置くときまでは、わたしの右に座していなさい』。
Mark JapKougo 12:37  このように、ダビデ自身がキリストを主と呼んでいる。それなら、どうしてキリストはダビデの子であろうか」。大ぜいの群衆は、喜んでイエスに耳を傾けていた。
Mark JapKougo 12:38  イエスはその教の中で言われた、「律法学者に気をつけなさい。彼らは長い衣を着て歩くことや、広場であいさつされることや、
Mark JapKougo 12:39  また会堂の上席、宴会の上座を好んでいる。
Mark JapKougo 12:40  また、やもめたちの家を食い倒し、見えのために長い祈をする。彼らはもっときびしいさばきを受けるであろう」。
Mark JapKougo 12:41  イエスは、さいせん箱にむかってすわり、群衆がその箱に金を投げ入れる様子を見ておられた。多くの金持は、たくさんの金を投げ入れていた。
Mark JapKougo 12:42  ところが、ひとりの貧しいやもめがきて、レプタ二つを入れた。それは一コドラントに当る。
Mark JapKougo 12:43  そこで、イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた、「よく聞きなさい。あの貧しいやもめは、さいせん箱に投げ入れている人たちの中で、だれよりもたくさん入れたのだ。
Mark JapKougo 12:44  みんなの者はありあまる中から投げ入れたが、あの婦人はその乏しい中から、あらゆる持ち物、その生活費全部を入れたからである」。
Chapter 13
Mark JapKougo 13:1  イエスが宮から出て行かれるとき、弟子のひとりが言った、「先生、ごらんなさい。なんという見事な石、なんという立派な建物でしょう」。
Mark JapKougo 13:2  イエスは言われた、「あなたは、これらの大きな建物をながめているのか。その石一つでもくずされないままで、他の石の上に残ることもなくなるであろう」。
Mark JapKougo 13:3  またオリブ山で、宮にむかってすわっておられると、ペテロ、ヤコブ、ヨハネ、アンデレが、ひそかにお尋ねした。
Mark JapKougo 13:4  「わたしたちにお話しください。いつ、そんなことが起るのでしょうか。またそんなことがことごとく成就するような場合には、どんな前兆がありますか」。
Mark JapKougo 13:5  そこで、イエスは話しはじめられた、「人に惑わされないように気をつけなさい。
Mark JapKougo 13:6  多くの者がわたしの名を名のって現れ、自分がそれだと言って、多くの人を惑わすであろう。
Mark JapKougo 13:7  また、戦争と戦争のうわさとを聞くときにも、あわてるな。それは起らねばならないが、まだ終りではない。
Mark JapKougo 13:8  民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。またあちこちに地震があり、またききんが起るであろう。これらは産みの苦しみの初めである。
Mark JapKougo 13:9  あなたがたは自分で気をつけていなさい。あなたがたは、わたしのために、衆議所に引きわたされ、会堂で打たれ、長官たちや王たちの前に立たされ、彼らに対してあかしをさせられるであろう。
Mark JapKougo 13:10  こうして、福音はまずすべての民に宣べ伝えられねばならない。
Mark JapKougo 13:11  そして、人々があなたがたを連れて行って引きわたすとき、何を言おうかと、前もって心配するな。その場合、自分に示されることを語るがよい。語る者はあなたがた自身ではなくて、聖霊である。
Mark JapKougo 13:12  また兄弟は兄弟を、父は子を殺すために渡し、子は両親に逆らって立ち、彼らを殺させるであろう。
Mark JapKougo 13:13  また、あなたがたはわたしの名のゆえに、すべての人に憎まれるであろう。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。
Mark JapKougo 13:14  荒らす憎むべきものが、立ってはならぬ所に立つのを見たならば(読者よ、悟れ)、そのとき、ユダヤにいる人々は山へ逃げよ。
Mark JapKougo 13:15  屋上にいる者は、下におりるな。また家から物を取り出そうとして内にはいるな。
Mark JapKougo 13:16  畑にいる者は、上着を取りにあとへもどるな。
Mark JapKougo 13:17  その日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、不幸である。
Mark JapKougo 13:19  その日には、神が万物を造られた創造の初めから現在に至るまで、かつてなく今後もないような患難が起るからである。
Mark JapKougo 13:20  もし主がその期間を縮めてくださらないなら、救われる者はひとりもないであろう。しかし、選ばれた選民のために、その期間を縮めてくださったのである。
Mark JapKougo 13:21  そのとき、だれかがあなたがたに『見よ、ここにキリストがいる』、『見よ、あそこにいる』と言っても、それを信じるな。
Mark JapKougo 13:22  にせキリストたちや、にせ預言者たちが起って、しるしと奇跡とを行い、できれば、選民をも惑わそうとするであろう。
Mark JapKougo 13:23  だから、気をつけていなさい。いっさいの事を、あなたがたに前もって言っておく。
Mark JapKougo 13:24  その日には、この患難の後、日は暗くなり、月はその光を放つことをやめ、
Mark JapKougo 13:25  星は空から落ち、天体は揺り動かされるであろう。
Mark JapKougo 13:26  そのとき、大いなる力と栄光とをもって、人の子が雲に乗って来るのを、人々は見るであろう。
Mark JapKougo 13:27  そのとき、彼は御使たちをつかわして、地のはてから天のはてまで、四方からその選民を呼び集めるであろう。
Mark JapKougo 13:28  いちじくの木からこの譬を学びなさい。その枝が柔らかになり、葉が出るようになると、夏の近いことがわかる。
Mark JapKougo 13:29  そのように、これらの事が起るのを見たならば、人の子が戸口まで近づいていると知りなさい。
Mark JapKougo 13:30  よく聞いておきなさい。これらの事が、ことごとく起るまでは、この時代は滅びることがない。
Mark JapKougo 13:31  天地は滅びるであろう。しかしわたしの言葉は滅びることがない。
Mark JapKougo 13:32  その日、その時は、だれも知らない。天にいる御使たちも、また子も知らない、ただ父だけが知っておられる。
Mark JapKougo 13:33  気をつけて、目をさましていなさい。その時がいつであるか、あなたがたにはわからないからである。
Mark JapKougo 13:34  それはちょうど、旅に立つ人が家を出るに当り、その僕たちに、それぞれ仕事を割り当てて責任をもたせ、門番には目をさましておれと、命じるようなものである。
Mark JapKougo 13:35  だから、目をさましていなさい。いつ、家の主人が帰って来るのか、夕方か、夜中か、にわとりの鳴くころか、明け方か、わからないからである。
Mark JapKougo 13:36  あるいは急に帰ってきて、あなたがたの眠っているところを見つけるかも知れない。
Mark JapKougo 13:37  目をさましていなさい。わたしがあなたがたに言うこの言葉は、すべての人々に言うのである」。
Chapter 14
Mark JapKougo 14:1  さて、過越と除酵との祭の二日前になった。祭司長たちや律法学者たちは、策略をもってイエスを捕えたうえ、なんとかして殺そうと計っていた。
Mark JapKougo 14:2  彼らは、「祭の間はいけない。民衆が騒ぎを起すかも知れない」と言っていた。
Mark JapKougo 14:3  イエスがベタニヤで、らい病人シモンの家にいて、食卓についておられたとき、ひとりの女が、非常に高価で純粋なナルドの香油が入れてある石膏のつぼを持ってきて、それをこわし、香油をイエスの頭に注ぎかけた。
Mark JapKougo 14:4  すると、ある人々が憤って互に言った、「なんのために香油をこんなにむだにするのか。
Mark JapKougo 14:5  この香油を三百デナリ以上にでも売って、貧しい人たちに施すことができたのに」。そして女をきびしくとがめた。
Mark JapKougo 14:6  するとイエスは言われた、「するままにさせておきなさい。なぜ女を困らせるのか。わたしによい事をしてくれたのだ。
Mark JapKougo 14:7  貧しい人たちはいつもあなたがたと一緒にいるから、したいときにはいつでも、よい事をしてやれる。しかし、わたしはあなたがたといつも一緒にいるわけではない。
Mark JapKougo 14:8  この女はできる限りの事をしたのだ。すなわち、わたしのからだに油を注いで、あらかじめ葬りの用意をしてくれたのである。
Mark JapKougo 14:9  よく聞きなさい。全世界のどこででも、福音が宣べ伝えられる所では、この女のした事も記念として語られるであろう」。
Mark JapKougo 14:10  ときに、十二弟子のひとりイスカリオテのユダは、イエスを祭司長たちに引きわたそうとして、彼らの所へ行った。
Mark JapKougo 14:11  彼らはこれを聞いて喜び、金を与えることを約束した。そこでユダは、どうかしてイエスを引きわたそうと、機会をねらっていた。
Mark JapKougo 14:12  除酵祭の第一日、すなわち過越の小羊をほふる日に、弟子たちがイエスに尋ねた、「わたしたちは、過越の食事をなさる用意を、どこへ行ってしたらよいでしょうか」。
Mark JapKougo 14:13  そこで、イエスはふたりの弟子を使いに出して言われた、「市内に行くと、水がめを持っている男に出会うであろう。その人について行きなさい。
Mark JapKougo 14:14  そして、その人がはいって行く家の主人に言いなさい、『弟子たちと一緒に過越の食事をする座敷はどこか、と先生が言っておられます』。
Mark JapKougo 14:15  するとその主人は、席を整えて用意された二階の広間を見せてくれるから、そこにわたしたちのために用意をしなさい」。
Mark JapKougo 14:16  弟子たちは出かけて市内に行って見ると、イエスが言われたとおりであったので、過越の食事の用意をした。
Mark JapKougo 14:17  夕方になって、イエスは十二弟子と一緒にそこに行かれた。
Mark JapKougo 14:18  そして、一同が席について食事をしているとき言われた、「特にあなたがたに言っておくが、あなたがたの中のひとりで、わたしと一緒に食事をしている者が、わたしを裏切ろうとしている」。
Mark JapKougo 14:19  弟子たちは心配して、ひとりびとり「まさか、わたしではないでしょう」と言い出した。
Mark JapKougo 14:20  イエスは言われた、「十二人の中のひとりで、わたしと一緒に同じ鉢にパンをひたしている者が、それである。
Mark JapKougo 14:21  たしかに人の子は、自分について書いてあるとおりに去って行く。しかし、人の子を裏切るその人は、わざわいである。その人は生れなかった方が、彼のためによかったであろう」。
Mark JapKougo 14:22  一同が食事をしているとき、イエスはパンを取り、祝福してこれをさき、弟子たちに与えて言われた、「取れ、これはわたしのからだである」。
Mark JapKougo 14:23  また杯を取り、感謝して彼らに与えられると、一同はその杯から飲んだ。
Mark JapKougo 14:24  イエスはまた言われた、「これは、多くの人のために流すわたしの契約の血である。
Mark JapKougo 14:25  あなたがたによく言っておく。神の国で新しく飲むその日までは、わたしは決して二度と、ぶどうの実から造ったものを飲むことをしない」。
Mark JapKougo 14:26  彼らは、さんびを歌った後、オリブ山へ出かけて行った。
Mark JapKougo 14:27  そのとき、イエスは弟子たちに言われた、「あなたがたは皆、わたしにつまずくであろう。『わたしは羊飼を打つ。そして、羊は散らされるであろう』と書いてあるからである。
Mark JapKougo 14:28  しかしわたしは、よみがえってから、あなたがたより先にガリラヤへ行くであろう」。
Mark JapKougo 14:29  するとペテロはイエスに言った、「たとい、みんなの者がつまずいても、わたしはつまずきません」。
Mark JapKougo 14:30  イエスは言われた、「あなたによく言っておく。きょう、今夜、にわとりが二度鳴く前に、そう言うあなたが、三度わたしを知らないと言うだろう」。
Mark JapKougo 14:31  ペテロは力をこめて言った、「たといあなたと一緒に死なねばならなくなっても、あなたを知らないなどとは、決して申しません」。みんなの者もまた、同じようなことを言った。
Mark JapKougo 14:32  さて、一同はゲツセマネという所にきた。そしてイエスは弟子たちに言われた、「わたしが祈っている間、ここにすわっていなさい」。
Mark JapKougo 14:33  そしてペテロ、ヤコブ、ヨハネを一緒に連れて行かれたが、恐れおののき、また悩みはじめて、彼らに言われた、
Mark JapKougo 14:34  「わたしは悲しみのあまり死ぬほどである。ここに待っていて、目をさましていなさい」。
Mark JapKougo 14:35  そして少し進んで行き、地にひれ伏し、もしできることなら、この時を過ぎ去らせてくださるようにと祈りつづけ、そして言われた、
Mark JapKougo 14:36  「アバ、父よ、あなたには、できないことはありません。どうか、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの思いではなく、みこころのままになさってください」。
Mark JapKougo 14:37  それから、きてごらんになると、弟子たちが眠っていたので、ペテロに言われた、「シモンよ、眠っているのか、ひと時も目をさましていることができなかったのか。
Mark JapKougo 14:38  誘惑に陥らないように、目をさまして祈っていなさい。心は熱しているが、肉体が弱いのである」。
Mark JapKougo 14:39  また離れて行って同じ言葉で祈られた。
Mark JapKougo 14:40  またきてごらんになると、彼らはまだ眠っていた。その目が重くなっていたのである。そして、彼らはどうお答えしてよいか、わからなかった。
Mark JapKougo 14:41  三度目にきて言われた、「まだ眠っているのか、休んでいるのか。もうそれでよかろう。時がきた。見よ、人の子は罪人らの手に渡されるのだ。
Mark JapKougo 14:42  立て、さあ行こう。見よ、わたしを裏切る者が近づいてきた」。
Mark JapKougo 14:43  そしてすぐ、イエスがまだ話しておられるうちに、十二弟子のひとりのユダが進みよってきた。また祭司長、律法学者、長老たちから送られた群衆も、剣と棒とを持って彼についてきた。
Mark JapKougo 14:44  イエスを裏切る者は、あらかじめ彼らに合図をしておいた、「わたしの接吻する者が、その人だ。その人をつかまえて、まちがいなく引ひっぱって行け」。
Mark JapKougo 14:45  彼は来るとすぐ、イエスに近寄り、「先生」と言って接吻した。
Mark JapKougo 14:46  人々はイエスに手をかけてつかまえた。
Mark JapKougo 14:47  すると、イエスのそばに立っていた者のひとりが、剣を抜いて大祭司の僕に切りかかり、その片耳を切り落した。
Mark JapKougo 14:48  イエスは彼らにむかって言われた、「あなたがたは強盗にむかうように、剣や棒を持ってわたしを捕えにきたのか。
Mark JapKougo 14:49  わたしは毎日あなたがたと一緒に宮にいて教えていたのに、わたしをつかまえはしなかった。しかし聖書の言葉は成就されねばならない」。
Mark JapKougo 14:50  弟子たちは皆イエスを見捨てて逃げ去った。
Mark JapKougo 14:51  ときに、ある若者が身に亜麻布をまとって、イエスのあとについて行ったが、人々が彼をつかまえようとしたので、
Mark JapKougo 14:52  その亜麻布を捨てて、裸で逃げて行った。
Mark JapKougo 14:53  それから、イエスを大祭司のところに連れて行くと、祭司長、長老、律法学者たちがみな集まってきた。
Mark JapKougo 14:54  ペテロは遠くからイエスについて行って、大祭司の中庭まではいり込み、その下役どもにまじってすわり、火にあたっていた。
Mark JapKougo 14:55  さて、祭司長たちと全議会とは、イエスを死刑にするために、イエスに不利な証拠を見つけようとしたが、得られなかった。
Mark JapKougo 14:56  多くの者がイエスに対して偽証を立てたが、その証言が合わなかったからである。
Mark JapKougo 14:57  ついに、ある人々が立ちあがり、イエスに対して偽証を立てて言った、
Mark JapKougo 14:58  「わたしたちはこの人が『わたしは手で造ったこの神殿を打ちこわし、三日の後に手で造られない別の神殿を建てるのだ』と言うのを聞きました」。
Mark JapKougo 14:59  しかし、このような証言も互に合わなかった。
Mark JapKougo 14:60  そこで大祭司が立ちあがって、まん中に進み、イエスに聞きただして言った、「何も答えないのか。これらの人々があなたに対して不利な証言を申し立てているが、どうなのか」。
Mark JapKougo 14:61  しかし、イエスは黙っていて、何もお答えにならなかった。大祭司は再び聞きただして言った、「あなたは、ほむべき者の子、キリストであるか」。
Mark JapKougo 14:62  イエスは言われた、「わたしがそれである。あなたがたは人の子が力ある者の右に座し、天の雲に乗って来るのを見るであろう」。
Mark JapKougo 14:63  すると、大祭司はその衣を引き裂いて言った、「どうして、これ以上、証人の必要があろう。
Mark JapKougo 14:64  あなたがたはこのけがし言を聞いた。あなたがたの意見はどうか」。すると、彼らは皆、イエスを死に当るものと断定した。
Mark JapKougo 14:65  そして、ある者はイエスにつばきをかけ、目隠しをし、こぶしでたたいて、「言いあててみよ」と言いはじめた。また下役どもはイエスを引きとって、手のひらでたたいた。
Mark JapKougo 14:66  ペテロは下で中庭にいたが、大祭司の女中のひとりがきて、
Mark JapKougo 14:67  ペテロが火にあたっているのを見ると、彼を見つめて、「あなたもあのナザレ人イエスと一緒だった」と言った。
Mark JapKougo 14:68  するとペテロはそれを打ち消して、「わたしは知らない。あなたの言うことがなんの事か、わからない」と言って、庭口の方に出て行った。
Mark JapKougo 14:69  ところが、先の女中が彼を見て、そばに立っていた人々に、またもや「この人はあの仲間のひとりです」と言いだした。
Mark JapKougo 14:70  ペテロは再びそれを打ち消した。しばらくして、そばに立っていた人たちがまたペテロに言った、「確かにあなたは彼らの仲間だ。あなたもガリラヤ人だから」。
Mark JapKougo 14:71  しかし、彼は、「あなたがたの話しているその人のことは何も知らない」と言い張って、激しく誓いはじめた。
Mark JapKougo 14:72  するとすぐ、にわとりが二度目に鳴いた。ペテロは、「にわとりが二度鳴く前に、三度わたしを知らないと言うであろう」と言われたイエスの言葉を思い出し、そして思いかえして泣きつづけた。
Chapter 15
Mark JapKougo 15:1  夜が明けるとすぐ、祭司長たちは長老、律法学者たち、および全議会と協議をこらした末、イエスを縛って引き出し、ピラトに渡した。
Mark JapKougo 15:2  ピラトはイエスに尋ねた、「あなたがユダヤ人の王であるか」。イエスは、「そのとおりである」とお答えになった。
Mark JapKougo 15:3  そこで祭司長たちは、イエスのことをいろいろと訴えた。
Mark JapKougo 15:4  ピラトはもう一度イエスに尋ねた、「何も答えないのか。見よ、あなたに対してあんなにまで次々に訴えているではないか」。
Mark JapKougo 15:5  しかし、イエスはピラトが不思議に思うほどに、もう何もお答えにならなかった。
Mark JapKougo 15:6  さて、祭のたびごとに、ピラトは人々が願い出る囚人ひとりを、ゆるしてやることにしていた。
Mark JapKougo 15:7  ここに、暴動を起し人殺しをしてつながれていた暴徒の中に、バラバという者がいた。
Mark JapKougo 15:8  群衆が押しかけてきて、いつものとおりにしてほしいと要求しはじめたので、
Mark JapKougo 15:9  ピラトは彼らにむかって、「おまえたちはユダヤ人の王をゆるしてもらいたいのか」と言った。
Mark JapKougo 15:10  それは、祭司長たちがイエスを引きわたしたのは、ねたみのためであることが、ピラトにわかっていたからである。
Mark JapKougo 15:11  しかし祭司長たちは、バラバの方をゆるしてもらうように、群衆を煽動した。
Mark JapKougo 15:12  そこでピラトはまた彼らに言った、「それでは、おまえたちがユダヤ人の王と呼んでいるあの人は、どうしたらよいか」。
Mark JapKougo 15:13  彼らは、また叫んだ、「十字架につけよ」。
Mark JapKougo 15:14  ピラトは言った、「あの人は、いったい、どんな悪事をしたのか」。すると、彼らは一そう激しく叫んで、「十字架につけよ」と言った。
Mark JapKougo 15:15  それで、ピラトは群衆を満足させようと思って、バラバをゆるしてやり、イエスをむち打ったのち、十字架につけるために引きわたした。
Mark JapKougo 15:16  兵士たちはイエスを、邸宅、すなわち総督官邸の内に連れて行き、全部隊を呼び集めた。
Mark JapKougo 15:17  そしてイエスに紫の衣を着せ、いばらの冠を編んでかぶらせ、
Mark JapKougo 15:18  「ユダヤ人の王、ばんざい」と言って敬礼をしはじめた。
Mark JapKougo 15:19  また、葦の棒でその頭をたたき、つばきをかけ、ひざまずいて拝んだりした。
Mark JapKougo 15:20  こうして、イエスを嘲弄したあげく、紫の衣をはぎとり、元の上着を着せた。それから、彼らはイエスを十字架につけるために引き出した。
Mark JapKougo 15:21  そこへ、アレキサンデルとルポスとの父シモンというクレネ人が、郊外からきて通りかかったので、人々はイエスの十字架を無理に負わせた。
Mark JapKougo 15:22  そしてイエスをゴルゴタ、その意味は、されこうべ、という所に連れて行った。
Mark JapKougo 15:23  そしてイエスに、没薬をまぜたぶどう酒をさし出したが、お受けにならなかった。
Mark JapKougo 15:24  それから、イエスを十字架につけた。そしてくじを引いて、だれが何を取るかを定めたうえ、イエスの着物を分けた。
Mark JapKougo 15:25  イエスを十字架につけたのは、朝の九時ごろであった。
Mark JapKougo 15:26  イエスの罪状書きには「ユダヤ人の王」と、しるしてあった。
Mark JapKougo 15:27  また、イエスと共にふたりの強盗を、ひとりを右に、ひとりを左に、十字架につけた。〔
Mark JapKougo 15:28  こうして「彼は罪人たちのひとりに数えられた」と書いてある言葉が成就したのである。〕
Mark JapKougo 15:29  そこを通りかかった者たちは、頭を振りながら、イエスをののしって言った、「ああ、神殿を打ちこわして三日のうちに建てる者よ、
Mark JapKougo 15:30  十字架からおりてきて自分を救え」。
Mark JapKougo 15:31  祭司長たちも同じように、律法学者たちと一緒になって、かわるがわる嘲弄して言った、「他人を救ったが、自分自身を救うことができない。
Mark JapKougo 15:32  イスラエルの王キリスト、いま十字架からおりてみるがよい。それを見たら信じよう」。また、一緒に十字架につけられた者たちも、イエスをののしった。
Mark JapKougo 15:33  昼の十二時になると、全地は暗くなって、三時に及んだ。
Mark JapKougo 15:34  そして三時に、イエスは大声で、「エロイ、エロイ、ラマ、サバクタニ」と叫ばれた。それは「わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。
Mark JapKougo 15:35  すると、そばに立っていたある人々が、これを聞いて言った、「そら、エリヤを呼んでいる」。
Mark JapKougo 15:36  ひとりの人が走って行き、海綿に酢いぶどう酒を含ませて葦の棒につけ、イエスに飲ませようとして言った、「待て、エリヤが彼をおろしに来るかどうか、見ていよう」。
Mark JapKougo 15:37  イエスは声高く叫んで、ついに息をひきとられた。
Mark JapKougo 15:38  そのとき、神殿の幕が上から下まで真二つに裂けた。
Mark JapKougo 15:39  イエスにむかって立っていた百卒長は、このようにして息をひきとられたのを見て言った、「まことに、この人は神の子であった」。
Mark JapKougo 15:40  また、遠くの方から見ている女たちもいた。その中には、マグダラのマリヤ、小ヤコブとヨセとの母マリヤ、またサロメがいた。
Mark JapKougo 15:41  彼らはイエスがガリラヤにおられたとき、そのあとに従って仕えた女たちであった。なおそのほか、イエスと共にエルサレムに上ってきた多くの女たちもいた。
Mark JapKougo 15:42  さて、すでに夕がたになったが、その日は準備の日、すなわち安息日の前日であったので、
Mark JapKougo 15:43  アリマタヤのヨセフが大胆にもピラトの所へ行き、イエスのからだの引取りかたを願った。彼は地位の高い議員であって、彼自身、神の国を待ち望んでいる人であった。
Mark JapKougo 15:44  ピラトは、イエスがもはや死んでしまったのかと不審に思い、百卒長を呼んで、もう死んだのかと尋ねた。
Mark JapKougo 15:45  そして、百卒長から確かめた上、死体をヨセフに渡した。
Mark JapKougo 15:46  そこで、ヨセフは亜麻布を買い求め、イエスをとりおろして、その亜麻布に包み、岩を掘って造った墓に納め、墓の入口に石をころがしておいた。
Mark JapKougo 15:47  マグダラのマリヤとヨセの母マリヤとは、イエスが納められた場所を見とどけた。
Chapter 16
Mark JapKougo 16:1  さて、安息日が終ったので、マグダラのマリヤとヤコブの母マリヤとサロメとが、行ってイエスに塗るために、香料を買い求めた。
Mark JapKougo 16:2  そして週の初めの日に、早朝、日の出のころ墓に行った。
Mark JapKougo 16:3  そして、彼らは「だれが、わたしたちのために、墓の入口から石をころがしてくれるのでしょうか」と話し合っていた。
Mark JapKougo 16:4  ところが、目をあげて見ると、石はすでにころがしてあった。この石は非常に大きかった。
Mark JapKougo 16:5  墓の中にはいると、右手に真白な長い衣を着た若者がすわっているのを見て、非常に驚いた。
Mark JapKougo 16:6  するとこの若者は言った、「驚くことはない。あなたがたは十字架につけられたナザレ人イエスを捜しているのであろうが、イエスはよみがえって、ここにはおられない。ごらんなさい、ここがお納めした場所である。
Mark JapKougo 16:7  今から弟子たちとペテロとの所へ行って、こう伝えなさい。イエスはあなたがたより先にガリラヤへ行かれる。かねて、あなたがたに言われたとおり、そこでお会いできるであろう、と」。
Mark JapKougo 16:8  女たちはおののき恐れながら、墓から出て逃げ去った。そして、人には何も言わなかった。恐ろしかったからである。〔
Mark JapKougo 16:9  週の初めの日の朝早く、イエスはよみがえって、まずマグダラのマリヤに御自身をあらわされた。イエスは以前に、この女から七つの悪霊を追い出されたことがある。
Mark JapKougo 16:10  マリヤは、イエスと一緒にいた人々が泣き悲しんでいる所に行って、それを知らせた。
Mark JapKougo 16:11  彼らは、イエスが生きておられる事と、彼女に御自身をあらわされた事とを聞いたが、信じなかった。
Mark JapKougo 16:12  この後、そのうちのふたりが、いなかの方へ歩いていると、イエスはちがった姿で御自身をあらわされた。
Mark JapKougo 16:13  このふたりも、ほかの人々の所に行って話したが、彼らはその話を信じなかった。
Mark JapKougo 16:14  その後、イエスは十一弟子が食卓についているところに現れ、彼らの不信仰と、心のかたくななことをお責めになった。彼らは、よみがえられたイエスを見た人々の言うことを、信じなかったからである。
Mark JapKougo 16:15  そして彼らに言われた、「全世界に出て行って、すべての造られたものに福音を宣べ伝えよ。
Mark JapKougo 16:16  信じてバプテスマを受ける者は救われる。しかし、不信仰の者は罪に定められる。
Mark JapKougo 16:17  信じる者には、このようなしるしが伴う。すなわち、彼らはわたしの名で悪霊を追い出し、新しい言葉を語り、
Mark JapKougo 16:18  へびをつかむであろう。また、毒を飲んでも、決して害を受けない。病人に手をおけば、いやされる」。
Mark JapKougo 16:19  主イエスは彼らに語り終ってから、天にあげられ、神の右にすわられた。
Mark JapKougo 16:20  弟子たちは出て行って、至る所で福音を宣べ伝えた。主も彼らと共に働き、御言に伴うしるしをもって、その確かなことをお示しになった。〕